「ベルト返上か、俺と戦うか」を訴えたグッドマンは“過信”か 敵陣営は井上尚弥への強気発言を称賛「振る舞いは見事だ」
井上とリング上で対峙したグッドマン。そこでの発言は実に強気だった。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
血気盛んな25歳は、世界が「モンスター」と恐れる男を前にしても堂々と挑戦状を叩きつけた。IBF&WBOスーパーバンタム級1位のサム・グッドマン(豪州)だ。
興奮冷めやらぬ東京ドームのど真ん中にグッドマンは立った。5月6日、ボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が、WBC同級1位の挑戦者ルイス・ネリ(メキシコ)を6回TKOで撃破した直後に、直々にリングへ招き入れられたのだ。
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井上が水面下での交渉を明かした。これにグッドマンも力強く呼応する。2団体でランキング1位に君臨し、正当な挑戦権を持つ25歳は、「俺はもう1年以上もチャンピオンが戦うことを義務づけられている挑戦者なんだ。あんたはベルトを返上するか、俺と戦うかだ」と牙をむいた。リングで付き添った通訳者は「自分もベルトが欲しくてここまでやってきた。絶対やりましょう」と表現を緩めたが、彼はたしかにそう言った。
キャリア18戦無敗(7KO)と敵なしで突き進んできた。ゆえに「打倒・井上」を叶えようと野望を打ち立てるのは必然だった。
ともすれば、絶対王者に対する過信とも言えるグッドマンの態度。だが。彼の陣営はそれを後押しする。豪興行大手『No Limit Boxing』のプロモーターを務めるジョージ・ローズ氏は、同社のYouTubeチャンネルで「彼(グッドマン)のリングでの振る舞いは見事だった。あの状況は誰であれ、気が遠くなる。でも、イノウエのファンで満員のドームで彼は真っ向から挑戦したんだ」と絶賛した。
無論、井上の図抜けた実力は承知の上だ。ローズ氏は「モンスターという異名が示すように、イノウエはサムにとってかつてないほどの障壁だ。様々な議論はあるけど、イノウエは間違いなくパウンド・フォー・パウンドで世界最高の選手。当代だけじゃなく、全世代で史上最高のファイターだと誰もが言っている。生ける伝説だよ」と褒めちぎる。