井上尚弥戦中止のグッドマンは「腰抜け」なのか 決定前日に告白していた“怪物”への想い「ずっと思い描いていた。俺が倒すって」
井上に向けて会見の場で意欲を示したこともあるグッドマン。(C)Lemino/SECOND CAREER
グッドマンが語っていた1度目のキャンセルの原因
相当な覚悟はあったはずである。同番組内でグッドマンは一度目のキャンセルを余儀なくされた当時の心境も告白している。
アクシデントのキッカケとなったスパーリングは、「いつも通りにヘッドギアを着けていたし、内容も普通だった」と明かすグッドマンは、陣営とのやり取りを赤裸々に告白している。
「血が流れているのが分かって、切っているのを見た瞬間にもうめちゃくちゃにショックを受けた。でも、チームは『試合を勝つために戦うんだ。ハンデを負った状態で彼(井上)に挑む必要はないし、相手を有利にさせるわけにもいかない』と言ってくれた」
「怪我をしてから最初の数時間は最悪だった。代役と試合をするとかって色々な噂が流れていたから、本当に泣きそうになった。だから試合ができると聞いたとき、気持ちは落ち着いた。そして頭をクリアにして前に進めた」
これまでも井上へのライバル心はメラメラと燃やしてきた。時には公式会見の場で井上本人に向けて「俺のやり方でプレッシャーをかければ勝てるチャンスはある。最高の自分で挑む」と断言してもいた。
彼が意欲的になる背景には、井上との試合で得られる高額なファイトマネーを得るという目的もあるだろう。昨年11月にサウジアラビア国営の国際娯楽イベント『Riyadh Season』とスポンサー契約を結んだ影響もあり、軽量級では異例の推定1000万ドル(約15億2000万円)超えも囁かれている。プロのアスリートである以上、その側面は無視できない部分である。
だが、グッドマンは、資金という側面よりも純粋な勝負事に関心があったように思う。あくまで推測だが、勝てばキャリアを一変させる一生にあるかないかの稀有なチャンスをものしようという純粋な意欲があったのではないか。少なくとも彼の言葉の節々からは伝わるものがあった。
繰り返すが、陣営やトレーナーたちの怪我の管理体制に問題はあった。同じ個所を痛め、前回よりも大きな怪我に繋げてしまった人為的なミスは批判されるべきである。しかし、憧れだった井上戦を文字通り目前にし、確かに強い志を見せていたグッドマンを「腰抜け」と批判するのはやや軽薄に思えてならない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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