井上尚弥との“三度目の正直”は実現するか　1位の座に就くWBO会長が危機に瀕するグッドマンに求めた“課題”とは？

井上との対戦を望み続けたグッドマン。その挑戦は、試合目前の怪我によって中止となった。(C)Lemino/SECOND CAREER

母国内で流れたグッドマンへの「追い風」

　無念の負傷による“大一番”の中止は、当人の立場も危うくさせている。

　年明け早々に話題となったのは、来る1月24日にボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥との対戦を予定していたIBF、WBO世界同級1位サム・グッドマン（オーストラリア）の棄権だ。今月11日に2度目となる左目上の裂傷のために、陣営とともに決断を下した。

【動画】痛々しい左目の裂傷…井上戦を控えたグッドマンの負傷シーン

　この井上戦を「人生で一番の試合」と位置付けていたグッドマン本人の喪失感は想像に難くない。なにせ、度重なるアクシデントは「打倒・モンスター」のために励んでいたトレーニングの最中の出来事である。

　そもそも昨年12月のクリスマス・イブに予定されていた試合を左まぶたを切って1か月も延期していたグッドマン。陣営も含めて慎重に練習を行なっていたが、今月24日の試合を目前した中で再び同箇所をカット。しかも今回は「前回の3倍」もの傷となり、全治約半年の重傷。もはや「世界最強」とされる王者と張り合える状態ではなくなった。

「ひどく取り乱している。本当に悲惨だ」

　そう陣営から説明があったほど、26歳の挑戦者の落胆は想像に難くない。

　今回の棄権は、あくまで練習中の怪我によるものではある。それゆえにオーストラリア国内では、幾度とも潰えた井上戦実現の可能性を示唆する声も生まれている。スポーツ専門局『FOX Sports』は「夢破れたサム・グッドマンに追い風」と銘打った記事を掲載。井上への指名挑戦権をWBOとIBFの両団体は維持させる予定だと報じた。

　実現すれば、文字通り“三度目の正直”となる。「IBFとWBOの両団体はオーストラリアが誇るスター戦士を世界タイトルに挑戦させる予定である」と断言する『FOX Sports』はグッドマンもチームからその旨を告げられた。IBFとWBOが正式に指名挑戦権を承認すれば、彼は5月下旬から6月上旬を目標にスーパーバンタム級のタイトルマッチで復帰することになる」と続けている。

　もっとも、井上側には世界進出の計画もある。24日の代役となったキム・イェジョンに勝利した後、米ラスベガス、サウジアラビアなど海外でのビッグマッチを予定。WBCスーパーバンタム級1位のアラン・ピカソ（メキシコ）と、WBA同級暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ（ウズベキスタン）との対戦が浮上している。