2度の中止に、急な対戦相手変更にも「何も思ってない」 異例続きの防衛戦で怪物・井上尚弥に望まれる“結果”
挑戦者が語った「覚悟」
不安がゼロというわけではない。しかし、異例続きだった試合を前にして、「プラス」の材料を見出すのは、井上が傑物と言われる所以だろう。
となれば、注目すべきはいかに勝つか。WBO以外でランク入りしていないキム・イェジュンとの実力差は明白。無論、さまざまな要素が絡むボクシング、ひいては格闘技は、KOを狙ってできるほど甘くはない。それでも「モンスター」に世界が期待するのはKOによる圧勝であろう。
ましてやキム・イェジュンは、好戦的な姿勢をうかがわせている。先述の会見では「井上選手にも十分に準備していただき、1ラウンド目から井上選手の全力を尽くしてベストの姿を見せていただければ」と宣言。この挑戦者の覚悟が確かなら、大衆が望むスリリングな展開も大いに期待できる。
そうした中でも井上は至って冷静だ。何よりもファンを楽しませることに関心を示してきたからこそ、世間の「要求」はおそらく痛いほど理解している。それでも「もちろん1ラウンドから全力でと考えているが、攻撃全面でいくのか、ボクシングIQを立ててで（戦術的に）全力でいくのかは変わってくる話。そこはじっくりと（見極める）作業をしていきたい」と語るにとどめている。
その冷静さは嵐の前の静けさか。内なる闘志を「ボクサー・井上尚弥」がどう爆発させるのか。24日の試合の行方をじっくりと目に焼き付けたい。
[文/構成:羽澄凜太郎＝ココカラネクスト編集部]
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