本場アメリカでも高まるアフマダリエフの名声 「過去最強の敵」との防衛戦は“怪物”井上尚弥にとって何を意味するか【現地発】
アフマダリエフをついに迎え撃つ井上。この両雄のマッチアップは国際的な話題ともなっている(C)Getty Images
「“モンスター”にとって最も厳しい試練となるのも彼」
ボクシングファン垂涎の一戦が間近に迫っている―――。日本が誇る最強王者、現在は世界スーパーバンタム級の4団体王座を保持する井上尚弥(大橋)が9月14日、WBA同級暫定王者ムロジョン・“MJ”・アフマダリエフ(ウズベキスタン)の挑戦を受ける。
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今をときめく“モンスター”からも「過去最強の敵」と称賛されるアフマダリエフは、プロでの主戦場としてきたアメリカ国内でも評価は高い。もちろん軽量級にも詳しい一部のマニアからの限定された名声ではある。だが、米西海岸在住のベテランライター、スティーブ・キム記者が昨年末の時点でこう記していたのは象徴的といえよう。
「アフマダリエフがマーロン・タパレスに勝っていれば、井上との試合は既に決まっていたというのは事実だ(私は何度も繰り返しているが、ベルトは絶対に重要だ)。その一方で、スーパーバンタム級での“モンスター”にとって最も厳しい試練となるのも彼であることは事実。その両方が真実なのだろう」
2015年の世界選手権で銀メダル、2016年のリオ五輪で銅メダルといった輝かしいアマチュア成績を残したアフマダリエフ。プロでもわずか8戦目でWBAスーパー、IBF世界スーパーバンタム級の統一王者になり、ダニエル・ローマン(アメリカ)、岩佐亮佑(セレス)、ロニー・リオス(アメリカ)といった実力者を下していった。特に2回に左手首を痛めながらも試合を優位に進め、最終ラウンドにタフなリオスをKOした横綱相撲は見事だった。
キム記者の指摘通り、2023年4月に“伏兵”タパレスにまさかの判定負けを喫してタイトルを失ったが、それ以降も3戦全勝(3KO)。昨年12月にはWBA暫定タイトルを手にし、井上戦に手が届くところまで再浮上してきた。
アフマダリエフが、ボクシングの本場でも高い評価を受けるのは、偏りのないバランスの良さがゆえに違いない。ウズベキスタンのアマシステムで鍛えられたスキルと基盤、さらにアメリカのジムでも体感してきたフィジカルと馬力がハイレベルで融合。十分なパワーを持ち、チャンピオンシップレベルで12ラウンドを戦えるスタミナもすでに証明してきている。軽量級では早くから名を売ってきた選手だけに、井上も2024年春の時点ですでにアフマダリエフをマークしていることを公言していた。
「イメージはありますし、スーパーバンタム級に上げると決まっていた時のチャンピオンだったので、もうチェックはしています。彼はアマの裏打ちがあった上での技術からのパワー。そこが一番じゃないですかね」






