アフマダリエフはなぜ井上尚弥への“挑発”をやめたのか? 異例プレゼントに込めた想い「本当に尊敬した人に、敬意を込めて送る」
井上に民族衣装を手渡した真意を語ったアフマダリエフ(C)CoCoKARAnext
これまでの挑発的な言動が嘘のような“和やかな振る舞い”は、逆に緊張感も生んだ。
9月12日に行われたボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一戦に向けた記者会見での一幕だった。WBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)は、4団体統一王者・井上尚弥(大橋)と、所属ジムの大橋秀行会長、井上の父でトレーナーの真吾氏に対して「チャパン」と呼ばれる民族衣装をプレゼント。友好ムードを醸し出しながら写真撮影に応じたのだ。
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もっとも、一連の和やかな態度には違和感もあった。というのも、アフマダリエフは試合実現を前にした段階で、米メディアなどで再三再四に渡って挑発を展開。昨年12月にWBA世界同級暫定王座決定戦を勝利した際には、「俺と戦いたくないのなら、その理由を説明しろ」「最強は最強と戦うべきだ。俺は指名挑戦者であり(暫定)王座も手にした。イノウエは、この階級最高であると示さなければいけない。彼は伝説だ。それなら証明してみろ」とマイクでアピール。“逃げるな”と言わんばかりに主張していたからだ。
そこからの態度の軟化は、井上陣営が「逆に怖い」(大橋秀行会長談)と語ったほどだった。だが、アフマダリエフには異例と言える戦前でのプレゼントに込めた思いがあった。
13日に舞台となるIGアリーナで行われた計量を一発クリアした30歳は、「(井上は)凄くいい準備をしてきたと思う。とてもいいコンディションだという印象を受けた」と井上を語った上で、こうも語った。
「我々の国では本当に尊敬した人に、敬意を込めて、あの民族衣装を送る。そういう伝統がある。イノウエ本人だけじゃなくて、彼に関わる方々に送りたいと思った。それは普通のことだ」






