怪物・井上尚弥は「偉大だ」 それでも“最強の敵”アフマダリエフから漏れた揺るぎない自信「過小評価をする人もいるだろう」
短くも、しっかりと睨みあった井上とアフマダリエフ(C)Lemino/SECOND CARRER/NAOKI FUKUDA
水抜きなしの驚異の肉体
共に状態は万全だ。9月14日に名古屋のIGアリーナで行われるボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一戦に臨む王者の井上尚弥(大橋)とWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が13日に公開計量を実施。1492人が見守った場で、両雄は一発クリア。フェイスオフでは不敵な笑みを浮かべながらガッチリと握手を交わした。
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やはり気になったのは、“史上最強”を謳われる挑戦者の状態だった。しかし、そうした心配も杞憂に終わった。リミットである55.34キロよりも約300グラムも軽い55.00キロで計量をパスしたアフマダリエフは、「今朝も朝食を食べたし、行きのバスでも水を飲んできた。水抜きはしていない」と強調。「100%仕上がっている」と自信を口にした。実際、身体つきもガッシリと引き締まり、同階級で井上を超える15戦をこなしてきた経験値を感じさせた。
無論、アフマダリエフの評価が“過大”ではないのは、他でもない井上も認めている。この日の計量後の囲み取材でも百戦錬磨のモンスターは、「(ここまでの気持ちの高ぶりは)久々ですよね。フルトン戦、ネリ戦、あるいはそれ以上。(アフマダリエフの)実力的にはここ最近で一番の評価をしている」と断言。さらに「まぁちょっと段違いですね」と2016年のリオ五輪で銅メダルを手にした輝かしいアマチュア時代から異彩を放ってきたウズベキスタンの雄の経歴を認めている。
確かにプロキャリアにおいて1敗はしている。アフマダリエフは2023年4月に“伏兵”と目されたマーロン・タパレス(フィリピン)にフルラウンドを戦い抜いた末に判定負けを喫してタイトルを失った。だが、以降3戦は全勝。いずれもKOで相手を打ち破る横綱相撲と言える展開で、元々偏りの少なかった総合力が洗練された印象もある。






