井上尚弥はなぜアフマダリエフを“支配”できたのか? 不気味な自信が漂う敵陣営の「狙い」を凌駕した異常なる進化

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試合後の井上は安どの表情を浮かべながら、ベルトを手にした。(C)CoCoKARAnext

井上は「本当に単純に強かった」

 前日の計量後に「違う井上尚弥と生き生きとした楽しそうな井上尚弥と両方見れる」と豪語した宣言通りに新たな一面を見せた井上は、試合後の会見でも「今日は作戦を最後まで実行して戦った。そんな試合でした」と総括。「最初はアフマダリエフの出方と戦い方を見て、インプットしながら丁寧に進めた。それによって自分の引き出しを増やして上回れた」とプランを明らかにした。

「(KOシーンを)作ろうと思えば、作れたシーンはいくつもあったと思う。でも、アフマダリエフも実力者なので。自分が倒しに行こうと思えば、違った展開になっていた可能性もある。なので、今日は今日の判定で勝つというボクシングをチョイスしてよかったと思う」

 積極果敢に打ち合わず、勝利を貪欲に求め続けた井上の“変化”は、眼前で目の当たりにしていた敵陣営もヒシヒシと感じ取っていた。試合後に会見に登壇したアントニオ・ディアストレーナーは、アフマダリエフに「ダメージはなかった」と証言した上で、こう続けている。

「もっと接戦だったという印象もあった。井上は素晴らしいファイターだし、どんなスタイルでも出来るというつもりではいた。そこに疑いはなかった。ただ、今日は井上が強かったと認めるしかない。本当に単純に強かったということだ」

 試合途中には緻密に遂行した戦術がブレかけた。9回にはアフマダリエフが「打ってこい」と挑発するような仕草を見せた。これに「何回も(倒しに)いってやろう」という想いがこみ上げた井上だったが、最後のゴングが鳴るまで「堪えた」。

「今日は『我慢』っていうものが自分の中でもテーマだった。インターバル中も父(真吾トレーナー)から『いいんだよ! このままでいい。行き過ぎるな』と。しっかりとポイントをピックアップしていくボクシングをやることを言われていたので、それを守ってやりました」

「倒しに行かないことがこれほど難しいんだなっていう発見はありました。堪えて判定に持っていけたっていうのは、一つ自分の中で良かった」

 衰えを感じさせず、強くなり続ける不出世の怪物は、来る12月には、サウジアラビアでのアラン・ピカソ(メキシコ)との対戦が決定的と見られ、来春には、中谷潤人(M.T)との大一番が控えている。そんな異例のキャリアを前にしても、異常なほどの進化を続ける井上には難なく超えてしまう雰囲気が漂っている。

[取材・文:羽澄凜太郎]

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