アフマダリエフに“誤算”を生じさせた井上尚弥の「585」 怪物の弱点も語った敵陣営は何を考えていたのか?
リング上で「スピードの差」は幾度も目に付いた。6回にはアフマダリエフがロープ際に追い込んだが、井上が巧みなフェイントで攻撃をいなし、その刹那に右アッパーと左ボディーの連打を浴びせた。この場面でウズベキスタンの雄は、明らかに井上の素早さに追いつけず、ガードも間に合っていなかった。
実際、データもスピードの違いを如実に示している。ボクシングのあらゆるデータを集計している米サイト『Comp Box』によれば、井上はアフマダリエフの約1.5倍に相当する合計585発のパンチを炸裂。うち相手にヒットしたパンチは141発で、計376発中62発しか当たっていない挑戦者との格の違いを見せつける形となっている。
戦前に「イノウエの弱みは下がり方をしらないことだ。ボディーを攻めて、下がらせれば、彼は混乱する」(米YouTubeチャンネル『Pro Box TV』でのジョエル・ディアストレーナー談)と語っていたアフマダリエフ陣営。そんな敵の想定を遥かに上回る総合力で、誤算すら生んだ井上。いまだ底知れぬポテンシャルは、やはり驚異的という他にない。
[取材・文/構成:ココカラネクスト編集部]
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