鬼木色は見えた? 好スタートを切った新生・鹿島の「変わらない部分」と「変わった部分」

タグ: , , , , 2025/3/16

鬼木イズムが本格的に発揮されるのはシーズンが進んでからだろう(C)Getty Images

 こうした守備の最大のメリットは、陣形が混乱しにくいこと。マンツーマンの意識が強い場合は相手の立ち位置に引っ張られるため、ボールを奪った際の陣形が乱れがちで、攻撃に転じにくい。しかし、ゾーンを保って守れば、サイドハーフを前に残しやすく、ボールを奪った際にスムーズに攻撃へ移行できる。

 川崎でもそうだったが、鬼木監督は守るための守備をしない。攻めるための守備を好む。奪ったボールが効果的に攻撃につながるか。そのためにはどうやってボールを奪うのか。激しく、そして賢く守る。

 もちろん、この守備はリスクもあり、中盤のフィルターが利かなければ、DFは数的不利にさらされて一気に大ピンチ。中央は優先的に守るとしても、サイドは構造的に隙が生じやすい。3節の新潟、4節のFC東京、5節の柏はいずれも鹿島のサイドハーフのフィルターを越える場所に立ち位置を取り、中と外でサイドバックに2対1を強いた上で、縦パスを入れてきた。

 サイドバックが外に張り出して対応すれば、中から飛び出してポケットを突かれるし、逆にサイドバックが中に留まれば、外から一気に前進される。新潟戦やFC東京戦はサイドを崩されつつも、ゴール前の守備で耐えたが、柏戦はその形から1失点を喫した。こうした場合はサイドバックの裏をカバーするボランチ、縦パスの出どころを抑える2トップのプレスが必要であり、それが期待できない状況では、割り切って人を抑えるしかない。

 こうした構造的な弱点をねらった攻撃は再現的であるだけに、鹿島の対応も試合毎に向上している。勝って内容を修正し、鬼木色の守備を習熟しているのは大きい。良い流れだ。

 とはいえ、まだシーズンは始まったばかり。5節が終わっただけだ。今後、鬼木・鹿島に大きな課題を突きつけるチームも現れるはず。

 その意味で、6節は面白い対戦になりそう。ひょっとしたら、次の変化のきっかけになるか。

 今の鹿島の攻撃は、個が相手を凌駕する場面が多いが、それが通じないとき、どうするか。個や小さな局面ではなく、チームで崩すために、開幕戦でトライした課題に再挑戦する必要があるかもしれない。それは鬼木・鹿島の次幕になり得る。

 浦和は組織力に長けた柏に0-2で惨敗した。その柏を、鹿島は3-1で下した。ならば、浦和は5-0くらいで倒せるのではないか。いやいや、そう簡単にはいかないのがサッカーだ。今の浦和は戦術の完成度こそ低いが、そもそも因縁深い対戦であり、鹿島が個で圧倒することが難しい相手であるのは間違いない。仮に浦和が全然ダメなら、7節の神戸戦、8節の広島戦、9節の京都戦など、次幕のきっかけになりそうな対戦相手は他にもいる。

 意外にも好スタートを切った鹿島。あるいは鬼木監督の経験を踏まえれば、当然の好スタートなのか。残り33節が楽しみだ。近年は2番手グループに甘んじている鹿島だが、今季は期待値がグッと上がった。

[文:清水英斗]

【関連記事】なぜ持ち味のドリブルは減少? スーパーゴール連発の背景にある三笘薫の変貌「より簡単なゴールの方が難しい」【現地発】

【関連記事】「これをやっていけば成長する」堂安律を変えた独名伯楽の妙案 日本代表にも好影響を与える“10番”の成長曲線【現地発】

【関連記事】2025年のJリーグで「ブレイク」するのは誰か?A代表入りも期待される「注目の5人」を識者が選出

関連記事

「アスリート/セレブ」新着記事

『CoCoKARAnext』編集スタッフ・ライターを募集

CoCoKARA next オンラインショッピング

PICK UP ユメロン黒川:寝姿勢改善パッド「nobiraku」 寝ている間が伸びる時間

腰が気になる方!腰まわりの予防に、試してみませんか? 寝ている間が、ととのう時間。 nobirakuはパフォーマンス向上の為の“大人のお昼寝”にも最適!

商品を見る CoCoKARAnext
オンラインショップ

おすすめコラム