意気衝天だった若武者が見せた“渋り” 「打倒・井上尚弥」をアピールしてきた挑戦者グッドマンの交渉停滞に疑問
井上との対決を自ら意欲満々で語っていたグッドマン。しかし、ここにきて態度を変化させてきている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext、(C)Getty Images
東京ドームでのメガ興行から約1か月。ドラマチックな一戦を制した井上尚弥(大橋)の次戦の行方は、思わぬ展開を迎えている。
世界2階級制覇王者にして、“最恐の挑戦者”と煽られたルイス・ネリ(メキシコ)との攻防を6回TKOで制した井上。東京ドームで34年ぶりに実現したボクシングの興行を彩ったKO劇の余韻が冷めやらぬなか、彼は次なる野望を明確にした。
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「次戦は9月ごろ、隣にいるグッドマン選手と防衛戦をしたい」
リングに上に、来日していたIBF、WBOのスーパーバンタム級1位に君臨するサム・グッドマン(豪州)を招き入れてのアピールは、強烈なインパクトを残した。この先制パンチは「やろう」と呼応した25歳の豪戦士の心にも響いたはずだ。
この時点で両陣営の交渉が合意間近だったのは想像に難くない。実際、グッドマンのプロモートを務める豪興行大手『No Limit Boxing』のジョージ・ローズ氏もネリ戦直後のインタビューで「今は日付の調整をしている段階だ。彼(グッドマン)のキャリアの中で最大の給料を得る日になる」と声高に語っていた。
ただ、ここにきて事態は一変。グッドマン陣営が井上の望む9月開催に消極的なのだという。今年3月にマーク・シュライブス(豪州)との試合を行っていたグッドマンは7月に調整試合が決定済み。そこからコンディションを回復させるべく12月に試合を延ばしたいという意向なのかもしれない。
いずれにしても、いささか驚きの展開だ。なにせ、グッドマンは、以前から「打倒・井上」を強くアピールしてきた男だった。