空前絶後の“朗希狂騒曲”で生まれたハレーション 中南米の野球関係者が「日本の怪物」に不満を漏らすワケ
メジャーリーグ移籍の行く末が注目を集める佐々木。(C)産経新聞社
「たくさんだ。30チームではないが、20チーム以上だ」
米球界に精通した大物代理人であるジョエル・ウルフ氏の言葉が、移籍の関心度を物語った。昨年12月にポスティングシステムを利用してのメジャーリーグ移籍を公示した佐々木朗希のそれである。
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契約金の規模は、特大のポテンシャルとは裏腹に驚愕するほどの値ではない。MLBの労使協定で決まった「25歳ルール」以下の23歳である佐々木はマイナー契約に限定。年俸や保証金も年間500万ドル(約7億2500万円)以下に制限される。ロッテが得られるポスティングフィーは高くはないが、夢を後押しされての権利行使だった。
米球界では青田買いに近い破格の安さだ。実際、佐々木獲得のために必要な資金は25歳以下の国際選手獲得の際に用いられるボーナスプール内で契約をする必要があるため、中南米の若手有望株と同様の扱いとなる。それゆえにポスティングの正式公示以前から複数球団が関心を示してきた。
空前絶後の“朗希狂騒曲”は移籍市場を大いに賑わせた。一方で25歳以下の国際選手と同じ枠に入った彼の動静を受け、穏やかでないのが、中南米の野球関係者たちだ。佐々木獲得を目論む有力球団が事前に口頭合意していた有望株との契約を白紙にするケースが噴出し始めているのだ。すでにドジャースが契約金110万ドル(約1億7100万円)で合意していたドミニカ共和国の強打の遊撃手ダレル・モレル(後にパイレーツと契約)をはじめ、3選手との契約を保留。ボーナスプール資金の拡大に動いている。