八村塁はホーバスジャパンに何をもたらすのか ”日本最高プレイヤー”によるプラスアルファを考える
それでも八村の合流によるメリットは大きい。彼は1試合平均の出場時間が26.8分、13.6得点、4.3リバウンドを記録しているNBAの強豪レイカーズの主力で、どう考えても日本最高のプレイヤーだ。
相手は「まず八村を抑えよう」という狙いを持ち、マークが彼に引き寄せられる。要は八村がボールを持つだけで、他の選手が空く。コートに立つことがそのままチームへの貢献になる。
日韓戦の日本は3ポイント(3P)シュートの成功率低迷に苦しんだ。84-85で敗れた5日の試合は「31.4%」で、88-80と勝利した7日の試合も「29.2%」にとどまっている。しかも7日は試投数が「24本」と少なかった。
7日の試合後に、ホーバスHCは日本語でこうコメントしている。
「3Pシュート……分からない。入らない。空いているシュートが入らない。それはもう直さないと、目標達成は難しいと思います。本当に29%では足りないです」
パリ五輪における日本の目標はベスト8入りで、そのためには「グループBの3位以上」「1勝以上」が絶対条件。W杯の参加は32か国だが、五輪は「12」に絞られ、目標クリアのハードルが明らかに高い。
グループリーグで対戦する3か国(ドイツ、フランス、ブラジル)はいずれも日本よりサイズがあり、インサイドのアドバンテージは取れないだろう。となれば「アウトサイド」が勝敗を分ける生命線になる。
日本が五輪で勝つ条件は、大まかに言えば「1試合に40本は3Pシュートを放ち、40%の確率で決める」ことだ。
八村が入ることで他の選手、特にアウトサイドのシューターが空く――。そこが明確なメリットだ。レイカーズではレブロン・ジェームズという「王様」がいるため、オフェンスを組み立てる仕事は任されていない八村だが、実はパス能力が高い選手でもある。八村の存在からオフェンスの「歯車」が噛み合い始める期待は高い。
さらにいうと八村も2023-24シーズンのNBAで「41.2%」と極めて高い3Pシュート成功率を記録している。203cm・104kgの彼はインサイドでもアウトサイドでも危険なオールラウンドプレイヤーだ。26歳の彼は経験値も上がっていて、レイカーズにおけるレブロンの役割を日本代表で果たし得る。
ホーバスHCも7日の試合後にはこう述べていた。
「勝って良かったけど、まだまだこのチームが上手にできていない感じです。でも塁と雄太が入って、チームのコンビネーションは全然変わります」
[文:大島和人]
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