“魔境”中地区を勝ち抜くために――覚醒が期待されるシーホース三河の3人のシンデレラボーイ

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■戦術の幅を広げる、八村世代の帰化選手・モッチラミン

 今シーズン加入した帰化選手・モッチラミンも戦術の幅を生み出すことができるキーマンの一人だ。「オフェンス、ディフェンスともにリバウンドのスペシャリスト」(リッチマンHC)の獲得は、昨シーズンの弱点を補う効果的な補強と言える。

 さらに大きいのは、モッチの加入により、ジェイク・レイマンが最も能力を発揮できるSFでプレーできるようになることだ。「モッチ、もしくはアヴィ(シェーファー)と外国籍選手2人が同時にコートに立つ“ジャンボラインナップ”は、自分たちのシステムをさらに高いレベルに引き上げる大きな武器になる」(リッチマンHC)。

 昨シーズンまで社会人チームのJR東日本秋田ペッカーズに所属していたモッチ。「彼のキャリアで最もレベルの高いチームでプレーしているので失敗することもあります。我慢強くコーチングしたい」とリッチマンHCは長期的視野で彼を育てる構えだ。

 15歳で来日し、異国で数々の困難を乗り越えてきたモッチも我慢の大切さを重々承知している。

「昨日よりも今日。今日よりも明日、明後日。毎日一つでもプラスできるようにというメンタリティで取り組んでいる。自分はやれば何でもできる人。自分を信じて、みんなを信じて、我慢して努力を続ければ、“モッチタイム”は必ず来る」

■NBAコーチが認めたポテンシャルを秘める生粋の刈谷っ子

 モッチの桜丘高校の後輩である平寿哉にも、「5年後に日本一のPGになってほしい」とリッチマンHCは高い期待を寄せている。刈谷市出身、シーホース三河U15の創立メンバーである平は、高校卒業後はアメリカに留学する予定だったが、元NBAコーチであるリッチマンHCに「プロの環境でプレーすることの方がトシにとってはいいのでは」とBリーグ入りを薦められ、入団を決意した。

 身長178cmながらダンクを決められる高い身体能力以上に、「高い競争心や自信を持っているところが素晴らしい」とリッチマンHCは平のメンタルの強さを買っている。

「AICHI CENTRALCUP 2024」では約2分間プレーをして得点を挙げたが、「長野(誠史)さんが『トシ、ボールを持て』と言ってくれたことが大きいので、まだまだです。まずはベンチに入れるように、そして数分でも試合に出ることができたら100%の力を出し続けたい」と驕らず、でも遠慮もせず、目の前の課題と向き合っている。

 優勝するようなチームには必ず、シンデレラボーイ、ラッキーボーイと呼ばれる選手が出現する。彼らがそういう存在となり、ローテーションの一角を担う選手に成長すれば、悲願のリーグ制覇も近づいてくるだろう。

[取材・文:山田智子]

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