山中慎介一問一答 ロマチェンコvsペドラサ 「手術の影響、不安はない」
「ハイテクvsスナイパー」注目の一戦を山中慎介が展望!
ライト級王座統一戦「ロマチェンコ×ペドラサ」を、12月9日(日)午後0時からWOWOWにて生中継!
(C)Getty Images
日本時間の9日、アメリカのニューヨークでWBA世界ライト級王者ワシル・ロマチェンコ(30=ウクライナ、12戦11勝9KO1敗)対WBO同級王者ホセ・ペドラサ(29=プエルトリコ、26戦25勝12KO1敗)の王座統一戦が行われる。
アマチュアで08年北京五輪、12年ロンドン五輪連覇、プロでは12戦目で3階級制覇を成し遂げているサウスポーの天才、ロマチェンコ。ペドラサもアマチュア時代には世界選手権準優勝、北京五輪出場の実績を持ち、プロでは2階級で世界王座を獲得している。
現代ボクシングの最高傑作ともいわれ、「ハイテク(高性能)」のニックネームを持つロマチェンコか、それとも左右どちらの構えでも戦える「スナイパー(狙撃手)」ペドラサか。
この注目のライト級王者対決について、元WBC世界バンタム級V12王者、山中慎介にみどころを聞いた。
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■苦戦するイメージが湧かないロマチェンコ
――山中さんはロマチェンコに関してどんな印象を持っていますか。
山中「いままでのボクサーには、あのような動きをする――ダンスみたいに細かいステップで、かつ相手がついていけないリズム。そして、どんどんギアを上げていく――選手がいませんでしたよね。加えてロマチェンコは足が速いだけでなく、もちろんパンチも速い。そして、ここという時には強いパンチも打てる、そんなイメージですね。相手を翻弄して諦めさせることが多く一発KOの印象は薄いんですが、ローマン・マルチネス(プエルトリコ)戦のように豪快に倒す事もありますから」
――あのボクシングはアマチュア(397戦396勝1敗)経験がベースになっていると考える事ができますよね。
山中「その戦績はホントかな?と思いますよね(笑)。オリンピックで連続金メダルでしょう。去年は同じオリンピック連覇のギジェルモ・リゴンドー(38=キューバ)にも勝っているし。どこまで高いレベルの選手なんだと。なかなか苦戦するイメージが湧かない選手ですよね」
――数少ない苦戦のひとつが今年5月のホルヘ・リナレス(33=帝拳)との試合でした。
山中「ホルヘ(リナレス)とは一緒にトレーニング・キャンプにも行ったし、もちろんジムワークでも一緒だったりしたので、ほかの人とは違う感情であの試合を見ました。だから6ラウンドにホルヘがダウンを奪ったときはソファから立ち上がってしまいました。ロマチェンコが10回TKO勝ちを収めたわけですが、それまではポイントも競っていましたよね(三者三様)。世界チャンピオンの中でも頭ひとつ抜けた者同士の対戦だったので、本当に面白い試合でした」
――あの試合でロマチェンコは右肩を痛め、試合後に手術しました。今回、その影響は考えられますか。
山中「12月に試合をすると決めたほどだから問題はないんじゃないでしょうか。しっかりトレーニングをしているだろうし、だから不安もないのでは。影響はないと思います」
――対戦相手のペドラサ(26戦25勝12KO1敗)については、どんなイメージを持っていますか。
山中「スーパー・フェザー級時代に1敗はしていますが、そのデービス(ジャーボンテイ・デービス=現WBA世界スーパー・フェザー級王者)戦でも持ち味は出していたと思います。ペドラサに関しては、第一に「長い」という印象ですね。長いというのは距離のことなんですが、そうではない中間距離や接近戦でもアッパーやフックが打てる選手ですね。タイトルを奪ったレイムンド・ベルトラン(37=メキシコ)戦でも狙い澄ました左アッパーでダウンを奪っていますから。あれは得意なパンチのひとつですね。今回も狙ってくるのではないでしょうか。相手がロマチェンコとなるとそう簡単に当たるとは思えませんが、タイミングがいいので警戒させるだけでも意味があるでしょう」