高校サッカーからドイツへ――過酷な挑戦を決めた福田師王の“現在地” 今季出場40分に20歳の点取り屋は何を思う【現地発】

タグ: , , , 2025/3/16

トップチームに帯同しながらU-23の試合でもプレーする福田。練習試合では得点を決めるなどアピールは続けている。(C)Getty Images

「徐々に。徐々に、ですね」

 ボルシアMGが1-5で大敗したこの試合をドイツの大手紙『Bild』は、「福田師王はこの試合唯一の光明」という見出しで紹介。「福田は再びその素晴らしい得点力を発揮した。テストマッチではすでにその資質を見せている。そしてブンデスリーガで初ゴールもマーク。間違いなくさらなる自信をもたらしたことだろう」と若き点取り屋を称えた

 ただ、アピールをしようとも、毎試合連続で出場機会を得られないのが、プロの難しいところでもある。今季のボルシアMGはチームとしても調子が良く、ブンデスリーガで来季のヨーロッパ・リーグ出場権獲得争いを展開。その中でレギュラー起用されているドイツ代表FWティム・クラインディーンストをはじめ、ロビン・ハック、アレッサン・プレアら攻撃陣が軒並み好プレーを見せている。

 それだけに福田は、与えられた機会にどれだけのインパクトを積み重ねていけるかが重要なのだが、その“チャンス”は25節のマインツ戦で巡ってきた。74分にピッチへ入ると、クラインディースト、プレアと3トップを形成。1-2とビハインドを背負った展開で、得点源として確かな期待を受けての出場となった。

 直後の75分、右サイドでボールを受けたクラインディーンストが、ゴール前に走りこむ福田の姿をとらえる。右足で送られたクロスは合わなかったものの、狙うべきところへの飛び込み、そしてパスを供給されるために普段の練習から存在感を示せていることを少なからず感じさせた。

 ただ、この日は77分にマインツMFナディム・アミリに見事なミドルシュートを決められて1-3となると、焦ったボルシアMGは空回り。福田も何とかボールを引き出そうと動き回るが、効果的に起点を作れぬまま、試合終了の笛を聞くことになった。

「徐々に。徐々に、ですね。トレーニングでは自分の中でできていると思います。ゴールという部分に関しては自分の得意分野で、結果を残していると思います。(今日の出場時間は)20分くらい? だから、決めたかったですね、やっぱ」

 今季トップチームでの出場時間はわずかに40分。それでも1年前と比較すれば、プレー機会は間違いなく増え、そしてブンデスリーガという檜舞台でも「やれる」という感触は確実に身についてきている。福田自身が24年3月のボーフム戦後に「フィジカル面でもそうですし、得点能力っていうのも、全然試合で自分の良さを出せてないと思うんです」と明かしていたことを考えると、そこに確かな成長が見える。

 このボーフム戦でいえば、自軍ベンチにはチェコ代表FWのトーマシュ・チヴァンチャラが控えていた。23年夏にスパルタ・プラハから移籍金1000万ユーロ(約16億2000万円)で獲得していた190cmの大型FWの起用は十分に考えられたが、セオアネは福田の方を優先して起用。この采配には小さくはない価値があったと言えよう。

「焦りは全然ないです。焦ることなく、毎日しっかり100%を尽くしてトレーニングをしてるんで。やり続ければ自然と結果を残せると思う。まだまだ頑張ります」

 以前、そんな風にも話していた福田の思いは今も変わらない。流されることなく、やるべきことに集中して自身の成長と向き合い続ける。その先に大きな飛躍があると、ひたすらに信じて。

[取材・文: 中野吉之伴 Text by Kichinosuke Nakano]

【関連記事】なぜ持ち味のドリブルは減少? スーパーゴール連発の背景にある三笘薫の変貌「より簡単なゴールの方が難しい」【現地発】

【関連記事】「これをやっていけば成長する」堂安律を変えた独名伯楽の妙案 日本代表にも好影響を与える“10番”の成長曲線【現地発】

【関連記事】久保建英の今冬獲得をリバプール専門サイトがプッシュ 他クラブの動きを警戒「夏まで待てば隙を与える」

関連記事

「アスリート/セレブ」新着記事

『CoCoKARAnext』編集スタッフ・ライターを募集

CoCoKARA next オンラインショッピング

PICK UP ユメロン黒川:寝姿勢改善パッド「nobiraku」 寝ている間が伸びる時間

腰が気になる方!腰まわりの予防に、試してみませんか? 寝ている間が、ととのう時間。 nobirakuはパフォーマンス向上の為の“大人のお昼寝”にも最適!

商品を見る CoCoKARAnext
オンラインショップ

おすすめコラム