プロ野球合同トライアウト後にクリケットへ転身…「興味があったら一緒にやりませんか?」
木村昇吾です。豪州でクリケット漬けの日々を送っています。日本では13日に12球団合同トライアウトが行われたと聞きました。僕も1年前に受験したので、鮮明に覚えています。今までやってきた野球の中で異質の空間でしたね。普段はチームの勝利のために戦っている選手たちが特別な思いを込めて球を投げて、バットを振る。打っても相手投手の心情を考えると喜びを出せない。複雑な心境でしたね。ただ広島時代に慣れ親しんだマツダスタジアムで開催されたことが僕にとっては大きかった。お客さんから大きな拍手をもらえたのは勇気になりましたし、打撃でも右翼フェンス直撃の打球を打てました。純粋に楽しかったですね。
トライアウトの開催に関しては賛否両論ありますが、選手たちは野球人ですからね。グラウンドに立てば投手は抑えたいと思うし、打者は打ちたいと思う。それぞれ野球への想いも違う中で表現できる場所としてありがたい部分もあるのではないでしょうか。トライアウトに出てもNPBで翌年以降プレーできる選手は一握り。僕もこのトライアウトがプロ野球でプレーした最後の場所になりました。あの時はクリケットの道に転身するなんて想像もしなかった。人生はわからないものですね。トライアウトを区切りに野球を辞める人もいれば、野球を続ける人もいる。色々な選択肢がある中でそれぞれの道で頑張ってほしいですね。もしクリケットに興味を持った選手がいたら…一緒にやりませんか?(笑)。野球とは違った魅力で本当に楽しいスポーツですよ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]
木村 昇吾(きむら・しょうご)
1980年4月16日、大阪府生まれの37歳。尽誠学園で3年夏に甲子園出場。愛知学院大に進学し、遊撃手でベストナインを5度獲得するなどリーグ通算打率・318、5本塁打。02年ドラフト11位で横浜に入団。07年オフに広島にトレードされ、11年は遊撃のレギュラーをつかみ、自己最多の106試合出場で37犠打をマーク。15年オフにFA権を行使したが移籍先が難航し、西武にテスト生で入団。昨年限りで戦力外通告を受け、クリケットに転身。インドのプロリーグでの活躍を目指す。あずさ夫人と子供は1男2女。
木村昇吾公式サイト(http://shogokimura.net/)