「非常識」と批判された沈黙が生んだ「極上のエンタメ」 大谷翔平の価値が証明された大混乱の一日
その動向が世界中で注目を集めた大谷。(C)Getty Images
大谷翔平はどこにいるんだ――。
現地時間12月8日。奇しくも6年前に大谷がエンゼルスとの契約を締結したこの日、球界は、稀代の天才の動向を追い、そして翻弄された。
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ありとあらゆる情報がSNS上に溢れた。それも鵜の目鷹の目の米記者の中でも“敏腕”と呼ばれる人たちが発信者となった。MLB公式ネットワーク局『MLB Network』のジョン・モロシ記者が自身のX(旧ツイッター)で「今日にもオオタニが決断する」とブルージェイズ移籍の可能性を大々的に伝えれば、米紙『USA Today』のボブ・ナイチンゲール記者は「彼はまだカリフォルニアにいる」とXに投稿。その間にメディアやファンの間でも様々な憶測が流れ、「Ohtani」や「Toronto」という関連ワードが軒並みトレンドに食い込んだ。
まさに狂騒曲と言うべき、情報合戦が展開された。もっとも、大谷本人や彼の代理人であるネズ・バレロ氏ら関係者は一切のコメントも声明も出していない。にもかかわらず、球界は大いに華やいだ。
今オフにエンゼルスからフリーエージェント(FA)となった大谷。去る11月2日に正式公示されて以来、彼の動向に対する注目度は高まっていた。一方で本人を含めた関係者たちは秘密裏に交渉を続け、情報は徹底的に管理されてきた。12月4日から4日間にわたってテネシー州ナッシュビルで行われたウインターミーティング中でさえも目立ったリークはなく、ただただ沈黙が続いていた。
注目度は裏腹に、確定的な情報が公にならない閉鎖的な状況が続き、業を煮やした一部のメディア関係者からは不満の声が上がった。