「次から次へと災難ばかり」“完全解体”も贅沢税はいまだ対象に 苦境のエ軍に米メディア&ファンが嘆き「情けない」
グラウンド上でも勝ちきれない状況が続くエンゼルス。彼らは経済面でも厳しい時を迎えている。(C)Getty Images
やはり……と言うべきか。エンゼルスの再建は一筋縄ではいかない。
先月29日(現地)にエンゼルスは、ルーカス・ジオリト、マット・ムーア、レイナルド・ロペス、ドミニク・リオーネ、ハンター・レンフロー、ランダル・グリチェクをウエーバーにかけた(その後にアーロン・ループ、テイラー・アンダーソンもかけたと報じられている)。レギュラーシーズンの佳境を迎えた段階で断行した主力選手たちの“無償放出”は小さくない波紋を広げた。
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もっとも、狙いは明確だった。贅沢税の課税ラインを超過しないために、チーム総年俸の削減を図ったのだ。これによって今オフにFAとなる大谷翔平が他球団へ移籍した場合に、来季のドラフト2巡目の補償指名権を獲得できる。つまりMLB全体28位の評価を受けるプロスペクトの強化を図れるというわけだ。
しかし、エンゼルス首脳陣の目論見は外れた。31日にウエーバーにかけた6人中5人が新天地へと移籍したのだが、グリチェクにはオファーが来ずに残留。そのため、当初に米データサイト『Fan Graphs』などで「目標は達成する」と伝えられていた課税ラインである2億3300万ドル(約339億円)を総年俸が上回る計算となったという。そのため、大谷を失った際に得られるドラフト補償指名権は2位ではなく4位となる。
あくまで正式発表ではないため、レギュラーシーズン終了後の採算で課税ラインを下回る可能性もゼロではない。しかし、地元紙『Orange County Register』のジェフ・フレッチャー記者も「わずかに超えている」と報じており、現時点では超過する見込みとなっているのは間違いなさそうだ。
潔く再建に舵を切ったはずだった。しかし、遅々として進まない経営に米識者やファンたちも嘆き声を上げている。MLB公式サイトのブレント・マグワイア記者が「なんてフランチャイズだ」と皮肉れば、米メディア『Bleacher Report』は「エンゼルスには次から次へと災難ばかりが降りかかっている」と指摘した。