大谷翔平、投手復帰1年目の投打の“ノルマは”?大復活の1年を予想する
もっとも、チーム全体の底力があるドジャースでは、1年目のレギュラーシーズンに限って、大谷の勝ち星はそこまで計算しない、との考えもあるかもしれない。リスクヘッジとして、大谷が復帰シーズンで投手として苦しんだとしても、打者で貢献できる。出来るだけ長く二刀流でプレーすることを望んでいる大谷にしても、故障明けのシーズンで再発してしまうリスクは避けたいところだろう。
では、打者ではどうか。前人未到の「50―50(50本塁打&50盗塁)」を達成し、期待値がさらに上がることは間違いない。投手復帰で下半身にも負担がかかるため、盗塁数は激減するのでは、との声もある。10月末のワールドシリーズでは盗塁を試みた際に左肩を負傷。故障のリスクもある。ただ、大谷自身は「まずは大前提として失敗を減らしていくという作業をしながら、いけるときにいく姿勢は、例え投手として投げていたとしても進塁した方が可能性が高いのであれば、もちろんいく準備はしたい」と意欲を示している。
大谷翔平のパフォーマンスは、予想をはるかに超えてくる。だとすれば、投手復帰に加え、リスク回避で盗塁が減るのではないか、という一般論は通じないかもしれない。まして、故障明けのシーズンはどちらかと言えばまだ、打者で貢献することへの優先度が高くなるとも考えられる。24年シーズン同様に、本塁打と盗塁を2年連続で量産する可能性もある。
メジャー挑戦の18年から取材を続ける担当記者として、大谷の投打の成績を予想することはあるが、過去7年間でほぼ毎年、想定外の結果になる。それが見ていてワクワクする由縁とも言える。その前提で予想をすれば、投手では7~8勝、打者では「50―50」に近い、もしくは史上初の偉業を2年連続で成し遂げる可能性もあるだろう。今年は11月21日、DHで史上初のMVPを獲得し、2年連続、3度目の満票でリーグMVPに輝いた。来季はどうなるか。毎年の楽しみでもある。
[文:斎藤庸裕]
【著者プロフィール】
ロサンゼルス在住のスポーツライター。慶應義塾大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。プロ野球担当記者としてロッテ、巨人、楽天の3球団を取材した。退社後、単身で渡米し、17年にサンディエゴ州立大学で「スポーツMBAプログラム」の修士課程を修了してMBA取得。フリーランスの記者として2018年からMLBの取材を行う。著書に『大谷翔平語録』(宝島社)、『 大谷翔平~偉業への軌跡~【永久保存版】 歴史を動かした真の二刀流』(あさ出版)。
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