大谷翔平の起用法は正しかったのか? 「信頼している」と繰り返して“酷使”したエンゼルス首脳陣にも疑問
予期せアクシデントに見舞われた大谷。その起用法は正しかったのだろうか(C)Getty Images
突然の発表は、世界に小さくない驚きをもたらした。現地8月23日に本拠地でのレッズとのダブルヘッダーを終え、エンゼルスのペリー・ミナシアンGMが緊急会見を実施。大谷翔平が右ひじの内側側副靱帯を損傷。投手としては、今季の残り試合を全休するとした。
異変が起きたのは、この日に実施されたダブルヘッダーの初戦だった。大谷は「2番・指名打者兼投手」として先発登板。初回の第1打席にメジャー単独トップとなる44号アーチを放った直後の2回途中に、突如としてベンチに合図を送ると、フィル・ネビン監督らとの話し合いの末に降板をしたのだ。
【動画】敵打者が「様子がおかしい」と語った大谷翔平の緊急降板シーン
この時、球団は「腕の疲労」と発表。ネビン監督も「まだ詳しい診断中だ」としながらも、「現状では疲労だ。痛みはないが、違和感を覚えている」と強調し、第2戦には「2番・指名打者」として先発起用していた。先述の会見でミナシアンGMが「彼が『2試合目も出れるなら、出たい』と言った」と語ったように、この時の出場は本人の志願による決断だった。
ここで気になるのが、エンゼルスが的確なリスクマネージメントが出来ていたのかどうかだ。突きつけられた現実に呆然とした表情を浮かべたミナシアンGMのコメントで気になる部分があった。
「残念なではあるが、負傷もゲームの一部だ。もっと彼より少ない出場数の投手が、故障を抱えるのも見てきた。これはタフなビジネスなんだ」
たしかに一理はある。運の要素も含めて球団がカバーできない部分は多い。まして投打二刀流で、他の選手よりも負担が増える選手のケアは容易ではない。事実、今シーズンの大谷の仕事量は過去に前例がないペースで増えていた。
開幕からローテーションの中心として中5日での登板を繰り返した大谷は、指名打者としても毎日のように出場。チームが消化した128試合中126試合でプレーするフル稼働ぶりだった。マイク・トラウトやアンソニー・レンドーンといった主力の故障によるスカッド状況を考えても、エンゼルスは大谷におんぶにだっこの状態と言っていい。