「非常識で、不愉快」均衡を破る大谷翔平とドジャースの後払い契約に米重鎮記者が猛反発「なぜ金額が跳ね上がったのか」
笑顔でドジャースの移籍を決めた大谷。ただ、彼らが結んだ契約には批判の声が止まらない。(C)Getty Images
世間の注目度や関心が大きい分、議論百出の事態となる。現地時間12月11日にドジャース移籍が正式に発表された大谷翔平の去就だ。
何よりも世間を驚かせたのは、契約規模とその内容だ。過去11年で10度のポストシーズン進出を果たしている“常勝軍団”ドジャースとの間に締結されたのは、10年総額7億ドル(約1015億円)のメガディール。これは野球界だけでなく、プロスポーツ史上でも最高額となる金額だった。
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さらに大谷は契約金の97%にあたる6億8000万ドル(約986億円)の支払いを10年契約終了後の2034~43年での後払いとした。それも利子なしだというのだ。必然的に自身の年俸が下がるが、現地時間12月14日に行われた入団会見で本人は、「自分が今受け取れる金額を我慢し、ペイロールに柔軟性を持たせられるのであれば、僕は全然、後払いでいいです」と自らの想いを明かしている。
大谷側からすれば、MLBの設ける「ぜいたく税制度」の“穴”をねらった巧妙な策をこらしたと言える。このルールは、チームの総年俸額が一定ラインを超えると罰金が科すというもので、上限を設けて戦力均衡させ、リーグ全体の人気を維持するための措置だ。一方でMLBは後払いの上限は設けていない。そこを突いたのである。
ただ、この裏技的手法とも言える交渉術と、非現実的とも言える規模の後払いに批判は集中した。ボルチモアに拠点を構えるスポーツサイト『PRESS BOX』などに寄稿し、1950年代から北米スポーツを追ってきた重鎮ジャーナリストのジム・ヘンネマン氏は「ショウヘイ・オオタニの移籍には思うところがある。ドジャースと彼が締結した10年7億ドルという契約は、非常識で、不愉快で、贅沢……。とにかく非常識だと考える」と断言する。