【第4回】トミー・ジョン手術からの再出発――「ようやく全力で投げられる」先に武田翔太が見据えるもの
武田は新天地でもう一花咲かせるつもりだ(C)産経新聞社
ここ数年の武田翔太を語る上で、肘のトミー・ジョン手術とリハビリの時間は欠かせない。手術後の2年間は1軍登板がなく、苦しい時期が続いた。
「トミー・ジョンは初めてだったので、『なぜそうなったのか』という原因の部分からかなり調べました。手術に至るまでの投げ方や身体の状態も含めて、一度ゼロから見直す期間だと捉えていました」
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復帰時期についても、自身の感覚にズレがあったという。
「自分のイメージでは、復帰まで1年6か月くらいかなと思っていたんですけど、実際は1年2か月くらいで試合に戻りました。正直『ちょっと早いな』という感覚はありましたね。投げている間もずっと痛みはありましたし、動きもおかしくなっていた。『今年はこういうものだ』と割り切って投げていました」
それでも、無理を重ねて再び壊すことだけは避けたかった。
「とにかくブレーキをかけながら投げていた印象です。『ここは我慢して抑えよう』と、自分にストップをかけ続けていました」
今のコンディションを尋ねると、表情は明るい。
「肘に関しては完全に問題ないです。全力で投げられますし、『ようやく野球ができるな』という感覚ですね」
言葉の端々から、自分を客観視してきた時間の長さがうかがえる。
「思いつきで動きたくないんです。復帰に関しても、『早く戻したい』という気持ちはありましたけど、結果的に長引いた部分もあったので、今は『もう少し待っても良かったかな』という反省もあります。ただ、その経験があったからこそ、今の自分の感覚があるとも思っています」
ソフトバンクを離れることになったとはいえ、それも自分が描いていたプロセスの延長線上にあると受け止めている。
「いろんな意味で、自分が思い描いていた段階を順調に踏めている感覚はあります。その流れの中で、チームが変わったという印象ですね」






