一夜にして全てを手に入れた扇久保の勝因は？かつてリング上で公開プロポーズした元PRIDEファイターが祝福解説
――扇久保選手は試合後にリングで公開プロポーズをしていましたが、大山さんもかつて試合後のリング上で奥様にプロポーズをしていましたよね。
大山：シンガポールで開催された「Martial Combat」という大会で、勝ったらプロポーズをしようと決めて、「試合に勝ったらケージの中に入ってきて」って奥さんに伝えていました。実際に勝ってプロポーズしたので、扇久保選手の心境はわかります。自分以外の人の喜びのためにって思った時に、人はすごく力を発揮できるんですよ。僕はプロポーズした後、お金がなくて結婚指輪を買えなかったので、「ROAD FC」で優勝して賞金で指輪を買おうと決めて参戦しました。でも、1回戦でデニス・カーンにアゴにパンチをもらってKOされそうになったんですよ。倒されてグランドで殴られている時に奥さんの顔が浮かんできて、そこから盛り返して逆転できたんです。人のためにって思った時に、すごく力を発揮できるって本当に実感しました。僕一人の勝ちたい気持ちだけとは覚悟が違う。扇久保選手も彼女に最大級の恩返しをしたいなって気持ちがあったんでしょうね。それが力になって最高の結果に繋がったと思います。年末のみんなが注目する大舞台で優勝してプロポーズって、最高にかっこいいじゃないですか。
――逆に、朝倉海選手は3年連続で大晦日の舞台で敗戦となりました。
大山：毎回ビッグマッチを組まれる立場というのもあると思いますが、本人は気に留めていないと思います。朝倉海選手は負けて強くなってきたので、この負けを糧にしてまたさらに強くなるはずです。こんなすごい経験値を積めるのはアスリートにとって宝物。挫折も泣きたくなるような経験も、全部が財産になる。若くて、まだまだ伸び代があるうちにこんな経験ができるなんて羨ましいですよ。
――斎藤裕選手と朝倉未来選手の試合はいかがでしたか？
大山：まさに死闘、すごい試合を見せつけられました。前半は斎藤選手の流れだったけど、一気に流れを変えましたね。試合中に流れを変えられる選手は強い選手。未来選手は本当の強さを身に付けましたね。今までは朝倉選手の強さは本物なのか、幻想なのかっていうところがあったけど、自ら本物だと証明しましたね。一番矢面に立たされている立場で、誰も経験できない重圧を感じていながら、それに打ち勝ったわけですから。斎藤選手も相当な覚悟で臨んできていて、実力も本物。両者ともに素晴らしかったです。
――那須川天心選手と五味隆典選手の一戦も、勝敗なしのルールではありましたが、白熱の展開となりました
大山：2週間前に格闘技界のスーパースターとのオファーを受けた五味選手も、13キロ差の相手に真っ向から打ち合った那須川選手も、両者本当にすごいですよね。トップファイター同士の拳の交わり、魂の交換に、胸が熱くなりました。五味選手は43歳ですけど打撃はやはり力強かったですし、改めて五味選手のすごさが若い世代の人にも伝わったんじゃないかな。
――他に気になった選手はいますか？
大山：三浦孝太選手はスター性を感じました。あの甘いマスクからは想像できなかったですけど、負けん気の強さとセンスを持ち合わせていますね。前に、前にって出られる気持ちは練習で培えるものではない、天性のものです。身体能力もすごいですし、この選手は「もっている」っていう印象でしたね。コメントも良かったですし、スターになり得る選手だと感じました。
――改めて、「RIZIN.33」の感想を教えてください
大山：多くの人の頑張りがあって、満員のさいたまスーパーアリーナで年末の風物詩が開催されることが本当に嬉しかったし、ありがたかったです。この日のために人生をかけて臨んできた選手の生き様を見せてもらえて、魂が震えました。まだまだコロナ禍で暗い話題も多く、大変な思いをしている人もたくさんいると思いますが、そんな中でもワクワクするような、感動するような試合を見せてもらえて、感謝ですね。格闘技って素晴らしいなって改めて感じさせてもらいました。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
・今すぐ読みたい→
白鳥大珠「ワザと天心が（五味の）パンチを受けていた場面があった。さすがです」 天心の同僚イケメン格闘家・白鳥が大晦日のRIZINを総評②
無敗の男・那須川天心に堀口恭司「彼が負けるとするならば・・・」
皇治、井上直樹、朝倉海の勝利予想を全部ハズし「もう予想はヤメようかな（笑）」 天心の同僚イケメン格闘家・白鳥が大晦日のRIZINを総評①
大山峻護（おおやま・しゅんご）
5歳で柔道を始め、全日本学生体重別選手権準優勝、世界学生選手権出場、全日本実業団個人選手権優勝という実績を持つ。2001年、プロの総合格闘家としてデビュー。同年、PRIDEに、2004年にはＫ-１・ＨＥＲＯ‘Ｓにも参戦。2012年ロードＦC初代ミドル級王座獲得。現在は、企業や学校を訪問し、トレーニング指導や講演活動を行なっている。著書に「科学的に証明された心が強くなる ストレッチ」（アスコム）。ビジネスマンのメンタルタフネスを高めていくための本「ビジネスエリートがやっているファイトネス～体と心を一気に整える方法～」（あさ出版）を出版。
大山峻護さんInstagram
https://www.instagram.com/shungooyama/
オンライン家庭教師 with アスリート
http://virus-busters.spo-sta.com/
ファイトネス
http://shungooyama.spo-sta.com/
「科学的に証明された 心が強くなる ストレッチ」
「ビジネスエリートがやっているファイトネス～体と心を一気に整える方法～」
1 2
