5戦すべてフルゲーム――卓球日本男子が見せた“歴史的奮闘” 王者・中国を震撼させた「18歳の衝撃」
そうした中、若手が徐々に力をつけ、台頭してきたのが18歳の松島である。松島は、今年1月の全日本選手権で、奇しくも今回のチームメイトの張本と篠塚をそれぞれ準決勝と決勝で破り、17歳で王座に就いた。国際大会でも次々と大物選手を破り、今月2日のWTTチャイナスマッシュでは梁靖崑をフルゲームの大激戦で沈めて中国メディアを驚愕させた。
今大会、中国が世界ランキング2位の林詩棟を本来は2回出られる1番または2番におくべきところを、1回しか出ない3番に持ってきたのは、篠塚から確実に1点を取るためだろう。裏を返すと、林詩棟は松島に不安があったということだ。それほど中国は今大会、日本を警戒していた。
中国の不安は的中し、松島はあろうことか世界ランキング1位の王楚欽を倒してしまい、“確実に取れる”と踏んでいた篠塚が林詩棟をフルゲームまで追い詰めた。中国はさぞかし肝を潰しただろう。5番の松島はつい2週間前に梁靖崑を倒しているのだからなおさらである。
しかしここからが中国だった。恐ろしいまでの粘り腰で大逆転して常勝軍団の底力を示した。勝利を決めた瞬間の中国チームの歓喜が日本の手ごわさを示してたが、それを茫然と見つめた日本チームは雪辱を誓ったはずである。その日は近い。
[文:卓球コラムニスト・伊藤条太]
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