「高校野球を変えたい」開拓者、慶應高・森林監督が就任時から目指した頭髪以上に伝えたかったこと

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ボトムダウンではなくボトムアップの指導

 慶應高校の練習風景には、今のチームや自分に足りないものは何か。必要なものは何かを考え、その課題を克服するためにはどんな練習が必要かを考え、時間の使い方を熟慮し、監督や指導者らに報告に来る選手たちの姿がある。

「森林先生、教えないんですか?」

 初めて森林体制の練習風景を見た時、思わず口から質問が出た。

「自分のことは自分が一番わかっているからね。チームもそうです。考えてもらう、考えさせる環境を作る。将来、自分が人生の壁にぶつかった時、自分で未来を切り拓かなければいけない。指導者からのサインや指示を待つことだけに慣れてしまうと“考えること”をやめる可能性があります。慶應高校野球部では登板している投手が自分からゲームの流れ的に体力面を考えて、もうここでマウンドを降りますと言ってくる子がいます。そう言える環境になっています」

甲子園が終わりではなく、甲子園の先に人生はある

 慶應高校が抱えるENJOY BASEBALL。日本語訳は楽しく野球をプレーする、野球を楽しむという意味になる。

「野球を楽しむ為にどうすればいいか。楽しめるようになるには何が必要で、自分たちはどんな努力をすればいいか。これが真の意味のENJOY BASEBALLです」と森林監督は話す。
そこには高校野球の未来が待っている気がする。森林監督就任時に掲げた「高校野球を変える」という言葉。頭髪に関する提言も、甲子園至上主義に対する指導も、トーナメント制の問題点も敢えて口にしてきた。新たな概念を生み出し、高校野球にイノベーションを起こし、球児を希望ある未来に導こうとしている。

 準々決勝で迎えるは大会屈指の好投手・東恩納を擁する沖縄尚学高校だ。慶應旋風が巻き起こることになれば高校野球新時代が見えてくる気がする今大会。50歳、森林貴彦監督の選手を生かす采配、紡ぎだす言葉に注目が高まる。





[文:田中大貴]

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田中 大貴 (たなか・だいき)

1980年4月28日、兵庫県小野市生まれ。小野高では2年から4番で打線の主軸を担った。巨人で活躍した高橋由伸氏にあこがれてか慶應義塾大学へ。4年春に3本塁打でタイトルを獲得。フジテレビ入社後は主に報道・情報番組とスポーツを担当。「とくダネ!」「すぽると!」ではバンクーバー五輪、第2回WBC、北京五輪野球アジア予選、リオ五輪キャスターなど様々なスポーツイベントを現地からリポートした。

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