楽天・則本 辛く、長い1年でUPしたモノ
魂の練度が、ワンランクアップ
魂。
彼にとってこの気概は重い。魂を持って投げる。自らの魂をチームに還元する。精神的な部分だけならば、その一心で投げ続けていると言ってもいい。
一軍登録は抹消されていたが、トップチームに帯同していた。たった10日間ではあったが、則本は徹底的に自分を俯瞰する。魂で投げ続けている男は、気づいた。
「監督から『必要ない』と言われるまでは、がむしゃらにやるべきじゃないか。自分勝手に『調子が悪い』とか思うのは、プロとして自覚に欠けすぎてはいないか」
則本は原点を掘り起こしていた。
1、2年目は一軍で生き残るため、愚直に結果を追い求めた。慢心はないし責任感だって誰よりも強い。ただ、エースという周囲の評価が則本の本能を無意識に抑制していた。
則本の心境が過去とシンクロする。
「なんとしてでも一軍にしがみつくというか、そういう感情がここ2、3年は薄れていたというか。今年(18年)こういう成績になって、改めて芽生えた気持ちでしたね」
2018年最後の2試合
原点回帰。その姿は、シーズン最後の2試合に現れた。
この時点で8勝。連勝しなければ6年連続の2ケタ勝利が途絶えてしまう10月6日のロッテ戦で7回1失点。最終戦での同じカードでも、体調不良を押しながらも4回からマウンドに上がり、3回打者9人を完璧に抑え勝ち星を手にした。楽天のエースは、ギリギリのところで踏みとどまったのである。
辛く、長い1年を経て、則本はまた逞しくなった。技術面よりも精神面。魂の練度が、ワンランクアップした。
「この経験を2019年はフルに活かしたいですね」
屈辱が則本を変えた。19年はもう、弱音などは叶い。ほとばしるのは、全身でもって発する勝利の雄叫びのみである。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/田口元義]