「正直言って自分の力不足」――阪神・伊原陵人が語った“プロの壁” 見えぬところで丸裸にされた虎の新人に生じていた異変
夏場以降に勝ち切れなくなった伊原。本人が語った「課題」となった(C)産経新聞社
徐々に出始めたボールの異変
“次点”でタイトルを逃した阪神の伊原陵人は、しっかりと現実を受け力強く前へ進んだ。
「正直言って自分の力不足。タイトルは自分の力でつかむもの。ただただ自分の実力不足だと思っている」
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11月26日、都内で行われた「NPB AWARDS」で、ヤクルトの荘司宏太がセ・リーグの新人王に決まった数時間前、次点に終わった伊原は球団事務所で契約更改に臨んでいた。来季年俸が2000万円増となったように、プロ1年目の2025年シーズンは即戦力の名に違わぬ活躍でリーグ優勝に貢献。新人王は逃しても、25歳は悔しさを表に出すことなく、むしろ原動力に変えようとしていた。
「(チームの)連覇のためにも、この成績じゃ足りない。前半良くて、後半悪かったのは何かが絶対あるはず。全部洗い直して、成長のきっかけにする」
今季は春季キャンプから実戦でアピールを続け、ブルペンの一員として開幕1軍入り。その後、藤川球児監督の判断で満を持して先発ローテーション入りを果たし、4月20日の広島戦(甲子園)でプロ初先発を飾って12球団の新人最速勝利を挙げるなど6月までに5勝を積み上げた。この時点で「新人王は伊原」の声は多く、プロへの順応も快調に見えた。
ただ、目に見えないところで“プロの壁”は迫ってきていた。
「すごい疲れたなというところを感じるというより、見えないところで投げるボール、走る身体の動き、ウエートというところに少しずつ(疲労が)現れているというのはトレーナーの方と話して気づいてきた部分ではあった」
6月下旬から夏にかけて春からの蓄積疲労が徐々にボールに出始めた。9試合連続で白星から遠ざかり、その間だけで6連敗。結局、6月8日のオリックス戦で挙げた5勝目が最後の白星になってしまった。
「失速」と言えば簡単だが、本人が痛感していたのは、プロの打者の対応の早さだという。「もちろんデータも出ますし、相手も見慣れてきて対応してくる。そういうことができるバッターしかプロにはいないと思うので」と語る伊原は、開幕当初はほとんどの打者が初顔合わせで、投手有利の状況を生かして着実に結果に繋げてきた。それでも対戦を重ねていく中で「伊原陵人」は各球団の精鋭スコアラー、アナリストに丸裸にされた。そして研究をされた上で、自分のボールにも多少の異変を感じていたという。





