「慣れてはいけない」――勝負師・藤川球児が説いた決意 球団創設90年で初の連覇に“死角なき”充実の猛虎はどう挑むか?
「私の目はごまかせません」――指揮官が厳しい表情で語った決意
投手陣に目を移せば、25年は石井、及川の若手リリーバーがフル回転した。特に後者はフルシーズン1年目となって蓄積疲労が心配されるが、毎年のようにブレークを果たすリリーバーが登場するのが、阪神のブルペンの強き、そして良き“伝統”。実際、24年に70試合登板で貢献した左腕の桐敷拓馬がやや調子を落としたところに及川が台頭してきた。
常々、藤川監督は「顔と名前は関係ない」とニューフェイスの出現を歓迎するスタンスを取っている。昨季はケガが癒えた終盤戦に昇格を果たして防御率0.00でフィニッシュした畠世周や、ルーキーだった木下里都、2年目を終えた石黒佑弥らが一気に飛躍する可能性を秘めている。
先発陣は日本人選手に大きな動きはなかったものの、開幕ローテ入りを果たして驚異的な奪三振率(11.22)を残して6勝をマークしたジョン・デュプランティエが在籍1年で退団(1月5日にDeNAへ移籍)。シーズン後半から先発に転向したニック・ネルソンも1年でユニホームを脱ぐことになった。
そうした中で球団はオフシーズンに入って助っ人の補強に着手。25年にメジャーで3勝をマークしている左腕のイーストン・ルーカス、203センチの長身から落差のあるカーブを繰り出すカーソン・ラグズデールと左右の先発候補の獲得に成功した。デュプランティエの穴は同じ助っ人で埋める算段で、そして、来季は左手首の手術から完全復活が期待される高橋遥人をフルシーズンで起用できれば、これ以上の“補強”はないだろう。
さらに藤川監督は、“ルーキーイヤー”に右肘のトミージョン手術を受けた23年ドラフト1位の下村海翔の復帰にも言及。右腕の出身の西宮市での優勝報告会で「西宮市出身では佐藤(輝明)もいるが、下村が頑張っている。そろそろ故障も癒えてくる。高橋遥人ではないが、来シーズン、夏場前くらいから、1軍で起用できるようなことになれば、来年はここ(西宮市の優勝報告会)に下村がいるんじゃないかな」と期待。先発陣の起爆剤になり得る存在だと見ている。
ベンチに目を向けると、昨季は1、2軍打撃巡回コーディネーターだった和田豊がヘッドコーチに就任。14年に監督として日本シリーズも戦った経験豊富な参謀を据えてタクトを振る。
昨年11月末にあった球団納会で藤川監督は、「慣れなかったからこそ、史上最速のリーグ優勝ができた。そして、ここから2か月のオフが勝負。それだけアスリートというのは厳しい。組織も慣れてはいけない。慣れたら、それは必ず表れる。私の目はごまかせません。期する思いで来年2月を迎えましょう」とチーム内の空気を引き締めるように厳しい表情で決意表明。「慣れ」や「現状維持」に強く首を振る指揮官は、“新生猛虎”にムチを打ち、連覇の偉業を目指す。
[取材・文:遠藤礼]
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