個人トレーナーが語る野球選手の引退後、好きな事を職業にするという事~阪神・岩田稔の個人トレーナーが語る3~
6月28日のDeNA戦で今シーズン初の一軍初登板、初先発をし、6回途中までを2安打1失点に抑えた阪神タイガース・岩田稔投手。1983年生まれ、大阪府守口出身の左腕。今年で35歳を迎える。
前回までは、プロ野球選手のトレーナーになるまでの経緯、岩田選手と取り組んでいる技術論に関して語って来て頂きましたが、今回は「好きな事を職業にする事について」や「野球選手の引退後」について。
自分主体で向き合っていくと、仕事が面白くなってくるんです
年齢的にも岩田選手の辞めてからの話も出て来ます。
「そんな事考えないで、野球だけやっておけよ」と言う声もあるかもしれませんが、やはり野球選手である前に、一人の人間として当然、こう言った事もよぎりますし、むしろしっかり考えるべき。考える事によって、現在の職業である「野球をプレーする」と言う事についてもしっかり考えられると思います。
僕はプロになれないまま、引退して、先に社会に出ているんですが、やはりプロ野球選手が今もらっている金額の給料を、社会に出てすぐに稼ぐというのは物凄く難しいことですから。仮に、社会で仕事し始めたとしても、人のために動かないと(お金は)付いてこないんですよ。
自分のモチベーションもそうですし、今のままのモチベーションで社会に出ても、人のために何をしてあげられるかを考えないといけないと言っています。
同じ病で闘っている人たちのためにも、1年でも長く…
引退したら、彼の病気(1型糖尿病)の事を啓蒙する講演などをすれば良いじゃないかと言う人もいますが、それをするにしても、当然現役選手で活躍している姿を見せる事の方が大きいですから。
応援してくれる人がいる以上、それに応えるのが仕事だし、それが僕の仕事だったら彼の成績に対して応えてあげるのが仕事ですし。自分主体で向き合っていくと、仕事が面白くなってくるんです。
岩田選手も野球が好きで、プロ野球選手になったわけじゃないですか。
それが職業になると楽しみの部分が減っちゃうところもあるんですが、いかに試合の中でその楽しみの部分を持っておくか。今年で言えば、今までの二軍生活があって、中盤に差し掛かるころ、一軍で投げられる事は喜びだし、それを感じてもらわないといけないなとは思います。
前回もお伝えしましたが、岩田選手には上記のような事、職業観、働くとは何かを意識しながら、球団から切られるのではなく、自分から引退したい時に引退できる選手になって欲しいと思います。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
網川 翼(あみかわ・つばさ)
つばさ鍼灸整骨院代表/ 岩田稔パーソナルトレーナー
幼少の頃より自転車競技やトライアスロンなどスポーツに親しみ、一時はプロ競輪選手の道を志すもアスリートを影で支えるコンディショニングに興味を持ち、トレーナーの世界に入る。
自身がスポーツ経験者であることで競技者の心理に寄り添ったコンディショニングが評判を呼び、2013年よりプロ野球選手・岩田稔選手(阪神)とパーソナルトレーナー契約を結ぶ。 家庭では4児の父。
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