崖っぷちの第3セットで「ゲームチェンジャー」になった大塚達宣 落選をも覚悟した男が石川祐希に代わって出場したワケ【パリ五輪】

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大塚は自分の役割を理解し、見事に流れを変えた(C)Getty Images

 最強アメリカからの突破口をいかに見出すか。ゲームチェンジャーは大塚達宣だった。

 1、2セットはサーブ、ブロック、トランジションと完璧に近いバレーボール展開したアメリカが連取した。たとえこの試合で敗れても日本の準々決勝進出が絶たれるわけではないが、もしも0-3のストレートで敗れると自力での可能性は消え、3日に行われるセルビア対カナダの結果次第では予選敗退もあり得た。

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 あと1セットをいかに取り切るか。崖っぷちの第3セットに投入されたのが大塚だ。しかも交代したのはキャプテンの石川祐希。これまで後衛時にワンポイントで入るケースはあったが、試合の途中、しかもセットのスタートから石川を外すことはほとんどない。流れを変えられるか、注目が集まる中、大塚は冷静に自らの役割を果たして見せた。

 2セット目までは太刀打ちできなかったアメリカのブロックに対し、真っ向勝負ではなく利用して、リバウンドを取って切り返す。それまでクロス方向のスパイクが止められていたこともベンチから確認していた大塚は、ストレート側のブロックに当てるブロックアウトや、ストレートを締めてきたら次はブロッカーの間を狙う巧みなスパイクで得点を重ねた。

 流れを変えるべく投入された大塚の活躍で、日本代表が本来の形を取り戻す。ブロックだけでなく、2セット目までは好き放題決められていたアメリカのミドルブロッカー、マックスウェルホルトのクイックを山内晶大が1枚でブロック。続けて関田誠大がレシーブでつないだラリーを髙橋藍が絶妙なフェイントで決め9-6。この試合で初めてアメリカから3点のリードを奪った。その後も日本の勢いは止まらず、大塚と同じく途中出場の髙橋健太郎のブロックや、西田有志のバックアタックで得点を重ね、第3セットを25-18で取り返す。この瞬間、日本の準々決勝進出が決まった。

 多大な貢献を果たした大塚だが、パリオリンピックの出場を決めるまでは順風満帆な道のりではなかった。石川、髙橋藍を欠いたネーションズリーグのブラジルラウンドでは、フィリップ・ブラン監督が「最も重要」と位置付けた大会で、富田将馬が大活躍。得意のディフェンス面だけでなく、攻撃でも活躍が光り、ポジション争いが続く中でこれ以上ないほどのアピールをして見せた。

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