森保ジャパンはなぜ強くなったのか?破竹の6連勝「以前」と「以後」の差とは
久保はトップ下で躍動し、攻撃を牽引した(C)Getty Images
そして、刺激や情報が増えるときこそ、チームの軸が大事になる。
第二次森保ジャパンの初陣となる3月の親善試合は、それがブレていた。カタール・ワールドカップの経験から、「主導権を握る」「ボールを持つ」といった言葉が口々に出るようになり、サイドバックを内へ入れるなど、新しい攻撃を意識したサッカーをやっていた。 ところが、逆に守備の意識や連係が弱まり、相手のボールを奪えない時間がダラダラと続き、せっかくトライした攻撃も回数が減ってしまった。結果もウルグアイに1-1、コロンビアに1-2と、1分け1敗。
6月を迎えた森保監督の口からは再び、「良い守備から良い攻撃」「まずは守備のハードワーク」といったチームの軸を示す言葉が多く出るようになった。新しくトライすることはあるが、軸はブラさない。そこが定まってから、日本は6連勝で波に乗る。ドイツに対しても守備と速攻が効き、4-1で勝った。
個々の成長と、そこから多くの情報と刺激を得つつも、チームの軸をブラさない。正確に言えば3月に一度はブレたが、二度はブレないマネージメント。これがカタールからの1年で森保ジャパンが大きく成長した要因だろう。
元々、森保ジャパンは冨安や板倉滉、三笘や久保、上田綺世、前田大然など東京五輪世代が多く名を連ねていた。それが第二次になって菅原由勢らも加わり、層が厚くなっている。彼らは年齢的に2026年ワールドカップでピークを迎える世代なので、本命はカタールではなく、むしろ次のワールドカップだ。成長していないほうがおかしい。
また、対戦したドイツやトルコ、カナダなどは監督交代の時期にあった。森保監督が継続し、チームの軸が定まっている日本とは違う。
近年、代表は欧州を中心に、8年以上の長期スパンで考えるチームが増えてきた。フランスはディディエ・デシャン監督が12年目、イングランドもガレス・サウスゲート監督が8年目を迎え、おそらくドイツもハンジ・フリック監督にヨアヒム・レーブと同じく長期政権を任せたかったのだろう。
代表チームは、年間試合数が10試合しかない。4年やって、ようやくクラブの年間試合数と肩を並べる。つまり、代表の4年とクラブの1シーズンは同等だ(大雑把な計算であることは認めるが)。
そう考えると、4年ごとに監督を変える代表は、1シーズンごとに監督を変えるクラブと同じであり、強くならないのは自明の理。クラブでも実力のある新監督を招聘すれば、2シーズン以上を任せるのは大前提であり、その意味では代表の主流が8年以上のスパンになるのも全く不思議ではない。
一言で言えば、今、サッカー日本代表は個人も監督も、非常に良い状態にあるということだ。
[文:清水英斗]
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