「進化したのは気持ちの部分」山田二千華はケニア戦に3年間の成長をぶつける【パリ五輪】

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 それでも山田の強みが出た場面があったとすれば、第1セットの開始早々、6-5から奪ったサービスエースだ。

 日本としては各セット序盤の入り方は重要であり、先行する展開に持っていくことで勝機を見出せる。その点において、相手エースのアナ・クリスティーナを崩した山田のサーブは、ここから試合を進めていくうえでの“号砲”に映った。

 そもそもサーブは2022年から始まった眞鍋監督体制下における強化ポイントであり、山田もサーブの効果率は年々高まっていた。その理由について「自分の打ち方もかなり安定してきたと感じています。それに、以前はターゲットだけが意識にあったのですが、それだけだと相手もカバーするなど手を打ってくるので。いかに揺さぶるかも頭に入れながら、サーブのバリエーションや引き出しを増やすことを心がけてきました」と話す。

 眞鍋監督もセット序盤で山田にサーブ順が回るようにローテーションを組んでいるのは、「サーブで主導権をにぎりたい」という狙いと山田への期待の表れだ。そして山田も「自分のベストサーブを打つ」ことを体現している。

 思えば、プール戦敗退に終わった東京2020五輪は日本代表での経験も浅く、さらに山田自身の性格もあり、チームとしても個人としても悔しさに打ちひしがれた。そこから眞鍋監督に「お前はプラス思考でいったほうがいい」と促され、今に至る。

「この3年間でいちばん進化したのは気持ちの部分です。東京五輪で『もう絶対に悔しい思いはしない』と決めて、今は『自分がチームを勝たせたい』という思いでいます。その気持ちが大きくなっているので、パリ五輪では後悔のないように、全力を尽くして戦いたいです」

 大会を前にそう言葉に力を込めた山田。プール戦最後のケニア戦で今一度、この3年間の成長した証しをぶつける。





[文:坂口功将]

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