「まずは強気で」黒星スタートの中で見えた光明 流れを変えた和田由紀子がメダル獲得の鍵になる【パリ五輪】
1年前の春、代表シーズンが始まったばかりの和田は、代表活動の雰囲気に緊張を抱きつつも、こう力強く口にしたもの。
「すべてが自分にとっては初めてなので。自分にできることをまずは思いきりできるように意識しています。ただ、まだ全部出しきれているわけではないと思うので。いいプレーにこだわるよりも、まずは強気でどんなプレーもしていきたいと考えているんです」
日の丸をつける資格を得たときから、和田は自分の“思いきりのよさ”をぶつけることを念頭に置きながら、一歩ずつ踏み出してきたのである。
そもそも日本代表を目標に据えたのは高校を卒業し、Vリーグに進んでから。本人が明かすに、遠い先を見据えるのではなく、身近な目標を一つずつクリアしながら、こつこつとステップアップしていく性分であり、日本代表も同様だった。
「小学生の頃は全国大会に出る、中学生は県選抜になる、とか。『トップになる』とは考えていなかったですね。そこで目標に近づいたら、『その先にはこんな世界があるんだな』と知って、また次の目標を設定する、という具合です。
日本のバレーボール界でいえばVリーグがトップのカテゴリーになると思うので、そこにいく以上は、目標を少し高く持っていたかった。となると、シニア(日本代表)を目標にしたいなと思ったわけです。
まずは日本代表の12名に選ばれること、が目標です。パリ五輪で優勝やメダル、というまでは考えられていません。でも、いつか選ばれたときには、そういう目標も考えながら、国を背負って戦える選手になれたらいいなと思いますね」
そう明かした代表初登録時から1年と少し。今、和田は12名に選ばれ、パリ五輪に臨んでいる。
「自分の力がどれだけ通用するか」を考えて始まった戦いで、まずは出番が与えられ、そこでは初めての得点も記録した。次は初めての勝利を、その次は初めてのメダルを。日本代表の一員として、和田は一つずつ目標をクリアしていくだろう。そうして彼女のシンデレラストーリーは綴られるのだ。
[文:坂口功将]
【関連記事】女子バレー日本代表が着用の“盗撮防止ユニフォーム”に海外メディアが大絶賛 最新技術が「尊厳を守る」【パリ五輪】
【関連記事】下着を“透視させない”技術革新 女子バレー日本が着用するユニに世界関心「盗撮防止をする生地が選手を守る」【パリ五輪】
【関連記事】「自分がやるんだ」が伝わるエース 「成長した」と実感する石川真佑は”勝負を左右する一打”を決めきれるか?【パリ五輪】