青天の霹靂だったヤ軍の“ひげ革命” 重鎮幹部を突き動かした新守護神の不満と業界内の懸念「補強のチャンスを失う」
ブリュワーズ時代には立派なひげを蓄えていたウィリアムズ。ヤンキース移籍後にはサッパリとした顔立ちになっていた。(C)Getty Images
名門の歴史的な変化は米球界に衝撃を生んだ。現地時間2月21日、ヤンキースは「ひげに関する方針の変更」とリリースを発表。1976年に「規律を植え付けるため」という目的で設けられた口ひげ以外を認めないとする独自ルールの撤廃を決めた。
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あくまで「手入れのされている状態」という条件付きだが、約50年に渡って続いてきたルールの変更とあって、米球界内は騒然。今オフにヤンキースからFAとなってタイガースに移籍したグレイバー・トーレスは現地記者に対して「本当に? そんなわけがない。マジで? 本当なの? いや、驚いたね」と仰天。まさに青天の霹靂であることを伺わせた。
ヤンキースにとっては、ジョージ・スタインブレナー前オーナー時代から続いた“伝統”であり、絶対的な規則だった。その不動のルールになぜメスを入れたのか。きっかけとなったのは、今オフに加入した新守護神だったという。
ヤンキースの内部事情を伝えた米スポーツ専門局『ESPN』によれば、今オフにFAで加入したデビン・ウィリアムズは、長年蓄えてきたひげを剃った上で、ブライアン・キャッシュマンGMやハル・スタインブレナーオーナーらに不満を吐露。「最高の選手が最高の気分でプレーをすることの重要性」「清潔感のある選手を育てるために実施された政策が上唇以下の顔の毛だけに適用される偽善性」と問い、球団幹部らにルール変更を推奨したという。
無論、球団を長く統制してきたルールゆえに即決には至らなかった。それでも「メジャーリーグの選手たちがひげやファッションにこだわるようになり、選手補強の機会を失う懸念があった」という球団内部で話し合いは重ねられた。とりわけスタインブレナーオーナーは熱心に取り組み、ジャンカルロ・スタントン、アーロン・ジャッジ、ゲリット・コールの現役選手に加え、ロン・ギドリー氏、アンディ・ペティット氏、C.C.サバシア氏ら球団OBにも聞き込み調査も実施。数日間の話し合いの末に「ひげを禁止することはもはや面倒なことではない」と確信を得た。






