予防医療におけるリハビリテーションの重要性
特徴2:呼吸器疾患とフレイル対策
どの骨格や筋肉が使われるか?有益なリハビリテーションに励みたい
みなさんもよく耳にする呼吸器疾患は「急性肺炎」「誤嚥性肺炎」「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」などがあります。国内における死亡原因の第3位は「肺炎」で、他の病気と合併して発病するのも特徴のひとつ。
1日に呼吸によって消費されるエネルギーは、健常人が36~72Kcalに対して、呼吸器疾患の患者さんは430~720Kcalにも及んでいるのです。従ってやせ型で筋委縮が起こってしまいます。
呼吸器疾患の人は満足に呼吸できないから苦しく、深い呼吸法である腹式呼吸ができない人が多い。腹式呼吸は横隔膜が下がって、2つの肺が均等に膨らむはず。しかし吸った空気の通りが悪くなっている肺の場所、例えば気管支の根元で吸気の通りが悪くなっていれば、正常に膨らまない部位が広い範囲になってしまうので、どちらか片方の肺が押しつぶされるように歪(いびつ)に膨らむ。効率よく2つの肺で均等にガス交換ができない。
浅い呼吸の肩呼吸に頼る場合が多くなる。息を吸う時は「胸鎖乳突筋」や「斜角筋」が、吐く時は「内,外複斜筋」が主に使われる。
息苦しい人は斜角筋ががんばるので、首筋に浮き出るのが特徴です。運動療法で腕を真上に上げるように指導する時がある。しかしここで注意が必要とのこと。腕を頭の上に真っすぐ上げる為には、斜角筋も使うからです。ですので呼吸器疾患を持っている人には、腕を水平な高さまで上げる運動を指導する場合があるそうです。
このように呼吸によって使われる筋肉と、運動指導のメニューによって使われる筋肉を見極める必要がある。これらの専門知識を持っているのが理学療法士です。
参考;介護予防・フレイル予防における理学療法士の役割と業務連携 日産厚生多摩川病院 千葉哲也先生講演
特徴3:糖尿病とフレイル対策
筋トレもやり方次第では有効なリハビリテーションです
超高齢化社会の日本は「高齢糖尿病患者」が激増します。患者さんには言い難いのですが、透析療法に掛かるひとり当たりの医療費は月間¥400,000。糖尿病と診断されて透析療法に至ってしまう患者さんは、年間約31,000人です。超高齢化社会の日本は「高齢糖尿病患者」が激増します。なんとか透析療法まで悪化しないように予防したいのですが、その対象が高齢糖尿病患者なので、高齢によるフレイル対策も並行して対応しなければなりません。
糖尿病患者の特徴として・・・、
・下肢筋力と筋肉量が減少する。
・歩行運動は49%の人が行っているが、筋トレは8%に過ぎない。
骨格筋は人体最大の糖代謝器官です。骨格筋を強くして糖の代謝が良くなれば糖尿病の予防・改善につながります。演者のデータでは、2週間の運動療法で筋肉量は変わらないが筋力が上がったという。
参考;介護予防・フレイル予防における理学療法士の役割と業務連携 KKR高松病院 リハビリテーションセンター 片岡弘明先生講演
今回取り上げた生活習慣病以外でも運動療法は効果的といわれています。運動療法の専門家である理学療法士。最近は医療施設だけでなく、フィットネスクラブなど活躍の場が広がっています。身近なところでお会いする機会が増えるでしょう。
[文:健康わくわくサイト 人生100年時代に役立つトレヴィアをお届けします]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
・今すぐ読みたい→
むかしの記憶を蘇らせながら運動する「デュアルタスク・トレーニング」という認知症予防法 https://cocokara-next.com/fitness/dual-task-training/
株式会社SOily 代表取締役 岡本 頼幸
幼少時代から生命の不思議に取り付かれてきました。
生体の分化発生の不思議を研究 ~ 免疫検査を通しての患者様への想い ~ 医療・健康機器のユーザー様から頂いた奉仕の心・・・。
これらのことから医療・健康の大切さを、長年にわたって実感して参りました。
今、予防医療というポピュレーションストラテジーが重要になっています。
更に「競技スポーツ」に「健康スポーツ」という親しみ易い概念も取り入れようとしています。
みなさまが人生の目的を達成するために大切な、「健康」についてのトレヴィアをお届けしたいと思っています。
みなさまの目となり耳となりそして足となって得た豆知識を、私の経験を交えてできるだけ分かり易くお伝えできれば幸いです。