発声練習よりも「間」がスピーチの決め手!
[文:桑名涼子オフィシャルサイト|司会者|トーク診断士|タレント(http://ryoko-kuwana.net)]
■発声練習はスピーチ上達に直結しない
スピーチ教室やプレゼンテーションのトレーニングなどでは、よく発声練習している光景を見ます。
なぜ?と、私はいつも思うのです。
実は私も、スピーチの指導をし始めた頃は、発声練習を取り入れていました。
なぜ取り入れたかと言うと、腹式呼吸などの効果がスピーチにも反映され、滑舌のいい堂々としたスピーチができるようになると思っていたからです。
ですが、何回やっても、誰がやっても、スピーチに変化が起きることはありませんでした。
その理由は、すぐに分かりました。
スピーチやプレゼンは、「いい声を出すこと」を第一に目標にしているわけではなく、緊張せず、自分らしく、伝えたいことを伸び伸びと聴く人の心に響くように話すことが目標だからです。
歌や一部のナレーションであれば、「いい声」は、必須かもしれません。
ですが、スピーチやプレゼンの目的は、違います。
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「思い」や「考え」を届けることです。
「思い」や「考え」を届けることを目標におきながら、腹式呼吸や滑舌に気を遣うことは至難の業です。
マイクを持って話しているとき、意識を向けるところはたくさんあります。
自分自身の身なり、お客様の反応、話の内容、表情、しぐさ、テンポなど…。
慣れてくれば、すべてを無意識にこなせるようになるとはいえ、スピーチやプレゼンを習う段階においては、これだけいろいろなところに意識を向けながら、「腹式呼吸で話そう」「声を遠くに飛ばそう」などと、意識することなんてほぼできません。
練習のときはできても、いざマイクを持って人前に立ったら、できなくなるのです。
これが、発声練習がスピーチ上達に直結しない原因です。
たとえできたとしても、腹式呼吸や、大きな声や、声を飛ばすことで、聴く人の心に話を響かせることはできるかというと、そういうわけでもありません。