一般企業も参考になる横浜DeNAベイスターズの取り組みとは
チームビルディング研修はメリットが非常に多い
「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回はチームビルディングでプロアマのスポーツ団体だけでなく、一般企業も参考になるDeNAの取り組みについてお話させて頂きます。
私はDeNAのファームチーフトレーナーとして15年から16年まで契約していましたが、仕事の役割分担が明確になっていて非常に働きやすかったです。その働くための環境づくりに大きく影響したのが「チームビルディング研修」だったと思います。シーズンオフに私たちコンディショニンググループ(トレーナー陣)、打撃投手、ブルペン捕手、スコアラー、マネージャーなどチームを支える裏方が集まって研修を行います。この研修では外部から一流の指導者を招いて講義を開くほか、それぞれがチームを強くするため、組織が円滑に回るために意見を言う機会を設定し、各回にテーマ性を与えながらどのように意見を出し合い、方向性を共有するかを促してくれました。この時間が非常に貴重でした。
チームを勝たせたいという目標はみな同じです。ただそこに向けておのおのの仕事、役割は違ってきます。1人ずつフラットな立場で意見を言うことで自分にできる役割を再認識できると同時に、チームの方向性としてしっかりとした軸が共有できます。普段は接する機会がなかなかないチームスタッフが「実はこういうことを考えていたんだ、この仕事はできるか今度相談してみよう」とか新たなアイデアが思いついたり、現場では寡黙なスタッフが優勝への熱い思いを口にして驚きと同時に心が揺さぶられることもあります。この「チームビルディング研修」はコーチなど首脳陣も行われます。きっちり役割分担をすることで指導法もブレなくなります。野球は先輩、後輩の縦社会です。トレーナーは明確な方針に基づいてトレーニングメニューを作成しても、コーチに「もっと走らせろ」と場当たり的な指摘を受けて変更することが珍しくありません。DeNAではこのような状況がなくなり、チームでの役割を共有でき、自分の仕事に誇りを持てるようになりました。
12球団でこのような「チームビルディング研修」を行っている球団はあまり聞いたことがありませんが、メリットは非常に多いです。強いチーム、強い組織は役割分担が明確に線引きされていて部署を超えた意思疎通もしっかり取れています。DeNAのこの取り組みが近い将来、他の球団でも当たり前のように行われていても決して不思議ではないと思います。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません
[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]
高橋 純一(たかはし・じゅんいち)
MLBサンディエゴパドレスで通訳兼コンディショニング補佐を務めた後、千葉ロッテマリーンズ、ヤクルトスワローズ、DeNAベイスターズファーム等でチーフトレーナーとして活動。17年より独立。幅広いストレングス&コンディショニング領域をアレンジ、シンプル化させ、「俺、最高。」「やってみるをかなえる。」をキーワードに老若男女問わず、自分の肉体の可能性を高め、向上していくサポートを行う。コーポレートコンディショニングという企業のトレーニング意識を変えるコーチングも担う。
J.T. STRENGTH & CONDITIONING コーポレートサイト(http://www.jt-sc.com)