【現地発】ワールドカップまで1年――。メガクラブ移籍か、絶対的地位の確立か。三笘薫は何を求めるか「もちろんそれは1つの目標」
充実の1年を送った三笘に相次いだ移籍の問い。その質問に本人はどう答えたのか。(C)Getty Images
精一杯に答えた三笘の“心情”
ブライトンに所属する三笘薫の周辺があわただしい。
今季の三笘はプレミアリーグ36試合に出場して10得点、4アシストを記録。2021年8月にヨーロッパにやってきて以来、単純な数字のみで見ても最高の1年を送った。加えて年間を通したパフォーマンスの観点を含めた総合的な判断でも、十分な内容だったと捉えていいだろう(完全主義者である本人からすると、それとは程遠いものだと一蹴されるはずだが……)。
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周囲を納得させた結果が、今年1月に開いた冬の移籍市場で、サウジアラビアの名門アル・ナスルからの8000万ポンド(約153億円)とも言われた2度に渡る高額オファーであり、シーズン中盤から沸き上がり続けているメガクラブ移籍の噂である。
本人はどのような想いを抱いているのか。現地時間5月25日に行われた今季のプレミアリーグ最終節(トットナム戦)後の囲み取材で、記者の一人が三笘に次のような内容の質問を投げかけた。
「(1月に)サウジへ行かなかったことはフットボーラーとして意思表明であり、移籍するのであれば、レベルアップができるクラブ。サッカー選手として成長できる環境でなければ、移籍の意味がないという考えか?」
これに「そう捉えてもらって大丈夫かなと思います」と間髪入れずに答えた三笘は、「レベルアップという意味では(昨季に)ヨーロッパリーグを経験して、例えばチャンピオンズリーグ(CL)という舞台もある。選手として魅力を感じるのは自然だと思うが?」という質問に対しても、少し笑みを浮かべながら次のように答えてくれた。
「(どうしても去就の話を)引き出したいんですね(笑)。まあまあ、そうっすね。もちろんそれは1つの目標ですけど。目の前のことをやっていけば出てくることかなと思うので。もちろん、将来のことは分からない。まずは、怪我をしっかりと治して、次のシーズンに臨むってところと、コンディションを上げることだけかなと思います」
取材前には、ブライトンの広報担当を通じて「移籍に関することは答えられない」としていたが、それでも、今言える精一杯の応対をしてくれるのが三笘と言う男である。
この言葉からだけでも、彼の心情はうかがい知ることができるのではないだろうか。今月20日に28歳となり、サッカー選手として最も脂の乗った年齢を迎えた三笘は、中堅クラブを“卒業”してステップアップするのに、今夏がラストチャンスとなる可能性も高い。
そうした動向は、必然的な流れだけに、一般論で考えても、彼がどこに照準を合わせているのかは容易に計り知れる。ブライトンのサポーターでさえも批判することはできないはずだ。
無論、移籍が決まれば、シーガルズ(ブライトンの愛称)ファンは大きな悲しみに包まれるだろう。三笘は、現チームの中核であり、クラブのアイコンとも言える存在。何より、特大な戦力ダウンになるのは必至である。






