熱狂の裏で噴き出した違和感 大谷翔平“東京凱旋弾”に米国で相次いだ「ファンの妨害」批判【ドジャース回顧録 vol.1】
大谷の凱旋弾が物議を醸した(C)Getty Images
2025年、ドジャースのシーズンを象徴する場面はいくつもあった。その中で、開幕直後の東京で放たれた一本は、栄光とともに“後味の悪さ”も残した。大谷翔平の凱旋アーチは、日本を熱狂させる一方、米国では激しい判定論争を呼び起こした。あの一打は、なぜここまで波紋を広げたのか。
【動画】ファンの妨害か否か…ビデオ判定導入で議論が飛び交った大谷翔平が今季1号
3月19日、東京ドームで行われたドジャースとカブスによるMLB開幕シリーズ第2戦。その5回、球場の空気が一変する瞬間が訪れた。
注目の中心にいたのは、やはり大谷翔平である。5回一死無塁、迎えたこの日3度目の打席。相手はカブスの2番手ネイト・ピアソン。カウント2-2から投じられた99.1マイル(約159.1キロ)の4シームを、大谷は迷いなく振り抜いた。
打球は高く舞い上がり、フェンス際へ。大谷自身が確信を持った表情で見送ったその瞬間、ボールはスタンド最前列付近でファンに触れ、グラウンド内へと戻ってきた。塁審は即座に本塁打を宣告。カブスのクレイグ・カウンセル監督の要求でビデオ検証が行われたものの、判定は覆らず、本塁打のまま確定した。
東京ドームは歓声に包まれ、大谷はガッツポーズで応えた。日本にとっては、これ以上ない“凱旋弾”であった。しかし、リプレー映像が繰り返し流れるにつれ、米国では別の空気が広がっていく。フェンス際でホームランボールを求めて手を伸ばしたファンが、打球の行方に影響を与えたのではないか――そんな疑念である。





