「ノムラ流とオレ流」対照的だけどお互いを認め合った野村克也と落合博光
選手でも監督でも一時代を築いた2人にしか見えない世界があったのかもしれない。
2月11日に亡くなった野村克也氏(享年84)が野球人として高く評価していたのが、元中日監督の落合博満氏(66)だった。「ここ数十年、プロ野球界を見渡して、名将といえるのは落合くらいかな」。監督時代も、評論家になってからも、現場で会えば野球談議に花を咲かせ、時間を忘れるほど話し込む間柄だった。
訃報を受けた落合氏が振り返る。「一番の思い出は、野村さんが阪神監督時代、解説者がだれも近づいて行かないんだって。『お前だけだよ、来てずっと話してくれるのは。俺、嫌われてるのかな』って言うから、『そういうわけじゃないんでしょうけど』としか言いようがないじゃん。2人で1時間も2時間も話して『練習見なくていいんですか?』って聞いたら『お前としゃべってる方がいい』と言っていた。野球の話だけ。本当に野球好きだったんだろうね」と悼んだ。
戦後初の三冠王となった野村氏と、三冠王に3度輝いた落合氏。ともに球界を代表する大打者として、実力を認め合うが「バッティングに関する考え方の接点はまるっきり違う」と落合氏。
直球を待つ落合-
変化球を読む野村-
落合氏は「オレは真っすぐしか待たない。野村さんから『変化球が来たらどうする?』と言われて、『真っすぐよりボールが遅いので何とか対応できるように工夫して打ちます』と答えると、『お前やっぱり、ある意味、天才だな。俺らみたいな凡人にはわかんない』と言われた」と懐かしんだ。