DeNA・石川 レギュラー奪取へ期する思い 「両親のためにも一年でも長く野球したい」
球団に在籍14年目の生え抜き最年長が迎えた正念場
DeNA・石川雄洋選手がファームで調整を続けている。球団に在籍14年目。低迷期のチームを支え続けてきた生え抜き最年長だが、現在の置かれた立場は厳しい。昨年は63試合の出場で打率・246。192打席は一軍定着後の08年から最少の数字だった。クライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズはメンバー外。チームはオフに阪神から大和をFA補強して内野の層が厚くなった。セカンドのポジションを倉本、柴田、田中浩らと競う状況で、春季キャンプはファームスタートだった。
「自分で招いた結果なので…。年齢が上になるにつれて周りを気にするようになって。若い時は試合に出たくて必死だった。僕はセンスがあるわけではない。もう一度反骨心を持って野球に取り組む姿勢が必要だと思う」。
感情を内に秘めたプレースタイルは「覇気がない」と誤解されることもあった。「見る人が思うことですから」と多くを語らないが、悔しくないわけがない。昨季はCS前の実戦の場となるフェニックスリーグも派遣されることなく、横須賀のベイスターズ球場で残留練習。同僚が奮闘した日本シリーズもテレビで見た。「ビールかけはしたかったですよ。日本シリーズもテレビで見ていて何もできない自分が悔しかった」と視線を下に落とした。
支えてくれた家族に恩返しの気持ちは人一倍強い。石川がファームにいる時も両親が試合に駆けつけ、スタンドで見守っていた。「両親とはよく連絡を取ります。父は社会人野球をやっていたので『打撃フォームがこうなっているぞ』と、手紙で教えてくれる時があります。ありがたいですよね。僕が野球を辞めたら両親も辛いと思うので、後悔しないような野球人生を送りたい」。春季キャンプ中は午前8時前にはグラウンドに出て早朝練習を欠かさなかった。夜も映像で自身の打撃フォームを入念に確認する日々。悔しさをバネに、反骨心ではい上がる。
■編集部からのお知らせ
3月7日に発売の雑誌「CoCoKARAnext」では読売ジャイアンツ・菅野智之投手のインタビューの他、プロ野球選手に学ぶ仕事術などストレスフルな時期を乗り越える情報を掲載。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]
石川 雄洋(いしかわ・たけひろ)
1986年7月10日、静岡県清水町生まれの31歳。横浜高では同学年のエース・涌井秀章と共に甲子園に二度出場。2年春は準優勝、3年夏は14打数10安打、打率・714の活躍でベスト8に貢献。04年ドラフト6巡目で横浜ベイスターズに入団。08年から1軍に定着し、10年に打率・294、リーグ2位の36盗塁をマーク。12年にDeNAの初代主将に就任して3年間務めた。通算1078試合出場で打率・258、965安打、21本塁打、112盗塁。183センチ、78キロ。右投左打。