前代未聞の『大谷翔平ルール』はなぜ採用されるのか 大谷とエンゼルスにしかメリットのない異例ルール導入の理由
大谷翔平の、大谷翔平による、大谷翔平のための新ルール採用となるか。メジャーリーグで「大谷翔平ルール」とも言うべき、新たなルール変更が行われる見込みだ。DH制を採らず、打順に入った先発投手が、降板後もDHとして出場を続けられる、というもの。これによって利益を受けられるのは、現状ではただ一人のリアル二刀流選手として鳴らす大谷だけ。前代未聞のルール変更となる。
これまで、DHを解除しての投打リアル二刀流出場には弊害もあった。投手として早期降板した際には、打者では1、2打席のみで終わることがあった。また、その場合には以降も投手が打席に立ち続けるため、代打要員が必要になるが、ベンチ入りが26人に限られるメジャーでは現実的ではなかった。
その弊害を回避するために、大谷が降板後は外野手としてプレーし続けたこともあったが、どうしても故障のリスクがつきまとう。全力投球の登板を終えた後に、外野からの送球で肩、肘に不安をもたらす恐れがあり、選択肢として積極的には採用されてこなかった。
今回の「大谷翔平ルール」が採用されれば、こうした弊害やリスクはなくなる。そして結果的に大谷がシーズン通じて立つ打席数は大きく伸びる。昨季、あと2本で逃した本塁打王獲得へ追い風であり、打点王や盗塁王へ向けても確実にプラスに働く。またエンゼルスにとっても、願ったりの変更となる。
冷静に見渡せば、他の29球団にはメリットがほとんどない。それなのになぜこのような「えこひいき」とも取られかねないルール変更が可能になりそうなのか。