NPBで消えない「疑惑の投票」 投票者名公表に踏み切るべきか
山本には有効投票267のうち、266票が投じられたが…(C)Getty Images
セ、パ両リーグのベストナインが11月27日、発表された。選考はプロ野球担当記者らによる投票で行われるが、今年も例に漏れることなく「疑惑の投票」が散見される結果となった。
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まず最初にSNSでトレンド入りした言葉は「平野佳寿」だ。パ・リーグの投手部門はオリックス・山本由伸が受賞。空前絶後の3年連続の投手4冠に輝き、有効投票267のうち、266票が投じられた。ほぼ「満票」での選出だが、わずか1票を得て満票を阻止したのが、チームメートの守護神・平野佳寿だった。
もっとも今季の平野は、素晴らしい数字を残している。42試合で3勝2敗、29セーブ5ホールド。防御率1・13は、救援投手ではあるがキャリア最高の数字だ。日米通算250セーブという偉業を達成した、老いてますます盛んな39歳に1票を投じる記者がいても簡単には責められない。
ネット上でも「満票選出ストッパー爆誕」「満票をセーブした」「この1票が平野で良かった」と、同僚守護神への1票が偉業に立ちふさがった偶然を、どこか楽しむ向きも見て取れた。
ただ、他のポジションには首を傾げざるを得ない投票が続いた。
セ・リーグ捕手は巨人・大城卓三が180票を集め3年ぶり2度目の選出。だが、今季21試合の出場で9打席しか立たず、1安打、打率・125の小林誠司に1票が投じられていた。
DeNA・宮﨑敏郎が140票で5年ぶり3度目選出の三塁手には、86試合で34安打、打率・215、0本塁打の中日・高橋周平に1票。阪神・木浪聖也が227票で初選出の遊撃では、同僚で明らかに出場試合数などで劣る控えの小幡竜平に1票が投じられた。外野手では今季打率・217、4本塁打の大田泰示にも1票が入った。
パ・リーグでは今季捕手での先発は1試合もないオリックス・頓宮裕真が一塁手で255票集め初選出されたが、頓宮には捕手でも1票が入れられた。