UFC・髙阪剛「年末決戦は、まだ見ぬ最新鋭の総合格闘技が観られる」
日本時間の12月30日、アメリカ・ネバダ州ラスベガス T-Mobileアリーナで『UFC232』が開催される。
今大会では、かつて最強の名をほしいままにした、ジョン・ジョーンズが1年5ヶ月ぶりに復帰。宿敵アレクサンダー・グスタフソンとのUFC世界ライトヘビー級王座決定戦が行われることとなった。
この豪華タイトルマッチの見どころをWOWOW『UFC-究極格闘技-』解説者でもある「世界のTK」こと髙阪剛に語ってもらった。
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——ジョン・ジョーンズが1年5ヶ月ぶりに復帰。いきなり王座決定戦を行うことになりました。
髙阪●これは本当に楽しみですよね。いろいろ問題はありましたけど、ジョーンズの強さっていうのは、誰もが認めるところですから。
――2008年にデビューして以来、いまだ事実上の無敗(垂直方向のヒジ打ちで反則負け=失格が一度あり)。UFCでライトヘビー級とヘビー級の2冠を制したダニエル・コーミエが唯一勝てない相手でもありますが、今回はどんな展開が予想されますか?
髙阪●ジョーンズのいまの状態がどうなのか。肉体面だけでなく精神面も含めての状態が、大きなポイントでしょう。試合間隔が空いたことにより、気持ちの面でリフレッシュして、「もう一度、UFCでしっかりとやっていくんだ」という、気持ちを新たにしてくれてると思うんですけどね。実際、UFCのタイトルマッチを受けるということは、相当な覚悟がないとできないことなので。
――チューンナップファイトなしで、かつて大苦戦した、最強の相手との対戦ですもんね。
髙阪●これは両者にとって最強の相手との対戦になるので、そういうことも含めて、お互いいい状態で試合をしてくれることを期待しています。
――前回、2013年9月『UFC165』で対戦した際は、グスタフソンがジョン・ジョーンズをかなり追い詰めて、UFC年間最高試合に選ばれる大激闘となりましたが、あの試合を髙阪さんはどう見ましたか?
髙阪●あらためて前回の二人の試合を見返してみたんですけど、あの時は1ラウンドにグスタフソンがテイクダウンを奪っているんですよね。あれが大きなポイントになったんじゃないかと思うんです。あそこからジョーンズが明らかに焦り出して、自分のリズムを取れなくなってましたから。
――デビュー以来、初めて奪われたテイクダウンですもんね。
髙阪●そうですよね。ジョーンズが右目の上をカットしたのも1ラウンドだったし。それも自分のリズムが崩れたことが影響していると思うんですよ。
――それまで、チェール・ソネン、ラシャード・エヴァンスといった、元レスリングのトップ選手でも、ジョーンズからはテイクダウンを奪えなかったのに、グスタフソンができたのは、どういった理由が考えられますか?
髙阪●ひとつ言えるのは、グスタフソンのフットワークだと思いますね。彼はステップを使って左右に動いたり、相手の攻撃をバックステップでかわしながら、逆に自分のパンチを入れていくのがすごくうまいんですよ。
——グスタフソンは、アマチュアボクシングのスウェーデン王者でしたから、その辺のフットワークが功を奏したと。
髙阪●グスタフソンはフットワークをうまく使って、相手の虚を突くようなかたちで攻撃を差し込むのが得意なんですけど、ジョーンズに対しても、それがハマッたんですよね。そして今回もグスタフソンはそういうかたちの攻め方ができると思うんですよ。