差別的な批判も糧に 米学者も脱帽する大谷翔平の影響力「オオタニが球界の顔になった事実は、アジア人にとっても前進」
ドジャース移籍で話題を生み出した大谷。その影響力は計り知れない。(C)Getty Images
「『野球界の顔』とされる選手が通訳を必要とするような人物なんてね。正直、球団の売り上げの助けにはならないと思う。なぜなら、本人の言動を周りが完璧に理解できないからだ」
これは2021年7月にエンゼルスで“リアル二刀流”を確立させた大谷翔平に対し、米スポーツ専門局『ESPN』の名物アナリストであるスティーブン・A・スミス氏が放った言葉だ。
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自分の考えをハッキリとさせる歯に衣着せぬ発言がカルト的な人気を博してきたスミス氏。だが、この発言は、彼の奔放な言動を見慣れた視聴者からも「ひどい差別だ」と批判が殺到。当人も「私はもっと言動に敏感であるべきだった」と謝罪する事態に至っていた。
ただ、当時の大谷に対して、いわゆるアジア人へのステレオタイプな偏見を抱いていたのは、おそらく彼だけではなかった。炎上騒動が起きた際にSNS上にはスミス氏に対する反発の声が相次いだ一方で、「なぜ英語を喋れないんだ?」といった意見も少なからずあった。
ただ、大谷はこの手の批判を糧に強くなった。いまやメジャーリーグのみならず、プロスポーツ界全体でも話題となるメガスターとなった。今オフにドジャースと締結した10年総額7億ドル(約1015億円)の契約によって生み出された大きな反響は、あまたの逆境を乗り越えてきた彼のスター性を物語るものでもあった。