今秋ドラフトの「目玉」を見逃すな! 9日開幕の全日本大学選手権に出場する“プロ注目選手”を一挙紹介
一方の投手は立石ほどずば抜けた存在は不在だが、上位指名を狙える選手は少なくない。特に評価が高いのが高木快大(中京大)、中西聖輝(青山学院大)、桜井頼之介(東北福祉大)、堀越啓太(東北福祉大)、伊藤樹(早稲田大)、工藤泰己(北海学園大)の6人だ。高木は地方リーグながら昨年から大学日本代表に選ばれている本格派右腕。この春は昨年秋に肘の手術を受けた影響で少し出遅れたが、それでも5勝1敗とさすがの成績を残した。ストレートは数字以上に打者の手元で勢いがあり、制球力も高い。総合力では今年の大学生投手でも1、2を争う存在と言えるだろう。中西は主戦となったのは3年春からだが、昨年はチームの年間四冠に大きく貢献。この春も6勝3完封と圧巻の投球でチームを優勝に導いた。元々まとまりがあったところにスピードもアップし、フォーク、スライダー、カットボールなど変化球のレベルも高い。大舞台での強さも魅力だ。
桜井は好投手が多いチームでも2年秋からエース格として活躍している右腕。多彩な変化球を操り、打者の的を絞らせない投球が光る。投手としては小柄だが、年々スピードアップしており、1回から9回まで140キロ台後半のスピードを維持できるようになった。リーグ内の最大のライバルである仙台大を完璧に抑え込んだ投球を全国の舞台でも再現できれば上位指名も見えてくるだろう。
堀越は150キロ台中盤のスピードが魅力のパワーピッチャー。この春は先発にも挑戦して結果を残せなかったが、リリーフで登板した試合は完璧に抑え込んで見せた。短いイニングであれば大勢(巨人)のように1年目から一軍の戦力となる可能性も高い。伊藤は東京六大学を代表する右腕。ボール自体に凄みはないものの、投球術に関しては大学生でもトップクラスだ。この春は少し調子の波はあったが、スピードもアップしており、明治大を相手にノーヒット・ノーランも達成した。
工藤はスピードに関しては堀越と双璧の存在と言える本格派右腕。3月に行われた巨人2軍との交流戦では、巨人の計測で158キロもマークしている。制球力にはまだ課題が残るものの、スライダー、カットボールの質も明らかに向上しており、リーグ戦では7者連続三振も記録した。初戦で強豪の上武大を相手にどんな投球を見せてくれるかが楽しみだ。
投手では他にも長身でスケールの大きさとまとまりを兼ね備えた赤木晴哉(佛教大)、大学で捕手から投手に転向して才能が開花した大型右腕の山崎太陽(創価大)、肘の手術を乗り越えて出力がアップした変則右腕の田和廉(早稲田大)、リリーフで150キロ台を連発するパワーピッチャーの大矢瑠晟(中京大)、スピードはないもののまとまりが光る左腕の木村駿太(北海学園大)と井出海翔(上武大)なども注目の選手だ。また毎年この大会で一気に評価を上げる選手も出てくるだけに、新たなスターの誕生にも期待したい。
[文:西尾典文]
【著者プロフィール】
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。
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