「ちょっと舐めていました」――阪神・湯浅京己の告白 怪腕が向き合った難病、そして感覚と球質が一致しない“不安な日々”

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復帰後に鳴りやまなかったスマホにはダルビッシュ有のメッセージも

 ようやく視界が開けたのは、4月4日に行われた2軍での中日戦だった。結果は1回を投げて1失点ながら、湯浅には「それまでと投げている感覚が全然違った」と手応えがあった。

 リリース時の力感を感じられるようになり、感覚と実際の球質のギャップも無くなった。1軍昇格を意識し始めたのもその頃だった。そして4月24日に敵地で迎えたDeNA戦で今季初昇格。藤川球児監督は「支配下の中にいる1人の選手として1軍に昇格している。ただそれだけです」と、1軍での必要戦力という指標で招集したことを明かした。

 出場選手登録されてから4試合は登板機会が無く、「早く投げたい気持ちはありました」と“その時”を待っていた中、出番は巡ってきた。

 復帰登板後、湯浅のスマホ通知は鳴り止まなかった。巨人の大勢や、WBCで同僚となって以来、親交ができたパドレスのダルビッシュ有からもメッセージが届いたからだった。「ダルさんからも来て、びっくりしました。見てくれていたんだな」と感激しっぱなしだった。

 余韻に浸る間もなく、翌日30日には、同点の延長10回に今季初の連投となるマウンドでピンチを招きながら1回無失点と力投。「身体も問題なく普通にやれていたので、とりあえずゼロで後ろにつなげるように頑張ろうと投げました」との言葉には、救援陣のバトンリレーに加わった充実感がにじんだ。

「支えてもらった人がたくさんいるので、その人たちに恩返しするためにも1試合でも多く投げたい。良い姿を見せられるように頑張りたい」

 今季は数字的な目標はあえて掲げていない。とにかく恩返しの気持ちだけを常に持って腕を振るつもりだ。思えば、まだ胸椎黄色じん帯骨化症と分かっていなかった昨年の今頃は、原因不明の体調不良、右足の脱力感に悩まされ、生き地獄のような苦境を味わっていた。だからこそ、1軍までたどり着いた今は「症状は出ますけど、昨年に比べたら全然違うので」と言える。

 無論、復帰を果たしてもここから平坦な道が続くとは思っていない。ただ、今は“前進できている”という実感がある。それは昨年あまり感じられなかった感触だ。

「任された場面でしっかりゼロで帰ってくることがリリーフの仕事。任された場面で仕事をできるように」

 復帰への道は一旦終わった。これからは実力が問われる勝負の舞台へと段階は変わる。苦闘を経て、たくましくなった背番号65。完全復活へ“疾走”する準備は整った。

[取材・文:遠藤礼]

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