断トツ最下位予想だった広島が29年ぶり開幕5連勝の快進撃 セイヤの呪いならぬ福音?過去にも中心選手のメジャー流出直後にリーグ3連覇
セイヤの呪いならぬ、セイヤの福音か。唯一無二の中心打者として君臨した鈴木誠也がメジャー移籍した広島が、開幕から5連勝と絶好調だ。開幕前の順位予想ではセ・リーグの最低人気を不動のものとしていたが、いざ開幕すると投打の歯車ががっちり。主砲流出の影響を全く感じさせていない。
鈴木が抜けた4番には、開幕から36歳のベテラン・松山竜平が座った。好調なバットで開幕からの連勝を支えていたが、3月30日の阪神戦では休養目的でベンチスタート。代わりに新外国人のマクブルームを4番に入れると2安打1打点と勝利に貢献し、佐々岡真司監督の采配も冴え渡っている。
今季は末包昇大、黒原拓未、松本竜也、中村健人と4人もの新人が開幕1軍入りを果たした。中村奨成、宇草孔基ら期待の若手も初の開幕1軍切符をゲットし、大幅に新陳代謝をはかった。特に鈴木の後継者とも期待される末包は開幕戦で3安打猛打賞、1打点と活躍すると、そこから4試合連続安打と存在感を発揮している。
昨夏に金メダルを獲得した侍ジャパンでも不動の4番を務めた鈴木。その抜けた穴は余りにも大きい。バットだけではなく、走塁や外野守備も優れた5ツールプレーヤーでもあった。だが、昨年までの鈴木がチームにおいて、精神的な部分も含めて本当の中心にいたかというと、そうではないと見る関係者も実は多い。
「練習量や野球に対する取り組み方は、誰もが認めるところ。若手に最高の教材だったのも間違いない。ただし、負けが込んでくると明らかにフラストレーションをためこみ、周囲に決してプラスではない言動もゼロではなかった」とある球団関係者は口にする。
孤高の存在となりつつあった鈴木が抜けたことで重しが取れ、空いた椅子を巡って若手が激しく競争する。そうしたプラス面での相乗効果が、チームの雰囲気にも前向きに働いている。