FAで移籍してきた選手がゼロの広島 唯一獲得に乗り出したFA選手とは
今季リーグ3連覇を飾った広島の強さの源は「育成力」だ。田中広輔、菊池涼介、丸佳浩、鈴木誠也、会沢翼、大瀬良大地、野村祐輔、中崎翔太と主力たちはすべて生え抜き。今季のメンバーを見ると他球団からの移籍組は、阪神から「出戻り」の新井貴浩、DeNAからトレードで加入した佐藤祥万、巨人からFAの人的補償で獲得した一岡竜司、阪神からFAの人的補償で獲得した赤松真人、今季ソフトバンクからトレードで途中加入した曽根海成の5人のみだった。
豊富な資金力でFA補強に積極的に参戦する巨人、ソフトバンクとは一線を画し、育成強化に注視する球団の編成方針で、過去にFAで入団した選手は1人もいない。だが、獲得に乗り出したことが一度だけある。今から8年前。10年オフに横浜(現DeNA)からFA宣言した内川聖一(現ソフトバンク)だ。広島は高校時代から内川の打撃センスを高く評価。プロ入り後も08年に右打者最高打率・378で首位打者を獲得するなど、球界屈指の安打製造機として評価を上げた強打者の獲得に動いた。交渉解禁日に横浜市内で行った交渉で当時の野村謙二郎監督が直接出馬。「カープがFA選手を獲得しに行くのは歴史的なこと。優勝すれば、おまえは歴史的な選手になれる」と口説き文句に、内川も「小さなころからあこがれでもある監督に『お前が必要だ。お前がチームを変えてくれ』と言われた。今まで野球をやってきてよかった。ちょっと感激というか、うれしい気がしています」と感激の面持ちだった。
FAの補強レースに参戦した唯一のケースで獲得はならなかったが、内川の自主トレに参加した鈴木は飛躍的な成長を遂げて不動の4番に成長した。近年は広島、日本ハムなどFA補強に頼らない球団が好成績を挙げている。今後も「育成の広島」の黄金時代が続くかもしれない。
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[文/構成:ココカラネクスト編集部]